警察庁から来た男
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警察庁から来た男
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投稿日時 2013/12/21 21:49 | 最終変更
nande3
投稿数: 128
ISBN:978-4-7584-3339-6
著者:佐々木 譲(ささき じょう)
発行:2009年6月28日 第十七刷発行(ハルキ文庫)
『笑う警官』に続く「道警シリーズ」の第二弾
以降、『警官の紋章』『巡査の休日』『密売人』『人質』が既刊
<誤植というより校正ミス? 意図的なミス?>
◎12ページ 12行目ほか◎
誤「…札幌の歓楽街・薄野(ルビ=すすきの)も…」
正「…札幌の歓楽街・ススキノも…」
間違いとは言えないのですが、新聞用字用語集に「紛らわしい地
名」として
(1)ススキノ(2)薄野(3)すすきの
(1)は歓楽街として使う場合で「札幌・ススキノ」と書く、
(2)は地域の総称。交番は「薄野交番」、(3)は地下鉄の
駅名。行政上の地名としては存在しない
との説明があります。
フィクションです。実在の名称でなくともよいのですが、次ペー
ジに「薄野交番」が出てきますので、街を表すなら「ススキノ」
でしょうか?
同じく13ページに「薄野浄化条例」、32ページに「薄野条例」と
いう言葉が出てきます。
「ススキノ条例」(通称)を指しているものと思われます。
ちなみに正式な条例名は「札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗
営業等に係る勧誘行為等の防止に関する条例」です。
◎21ページ 15行目◎
誤「河野は五階の階床ボタンを押した。」
正「河野は五階の行先(階)ボタンを押した。」
難しい言葉に遭遇しました。「階床」は「かいしょう」と読む
のでしょうか。「かいゆか」?
建築用語で「二階床組(にかいゆかぐみ)」「二階床」「上階床
と下階床」などはあるようです。この「二」が省略された言葉な
のでしょうか?
ネットで「階床」を検索しても、明確な答えは見つかりませんで
した。
エレベーターの構造を調べてみました。
メーカーによって違いはありますが、「階床表示(灯)」という
名称が見られます。「2」「3」……「15」「16」…と階数をデジ
タル表示します。
ドア開閉ボタンには数字はありません。連続して数字が書いてあ
るのは「行先ボタン」「行先階ボタン」とありました。
「階床ボタン」という言葉は、なんとなく意味は分かりますが、
それほど一般的な言葉ではないようです。
◎32ページ 11行目ほか◎
誤「北海道警察本部の本庁舎は、札幌市の官庁街、北二条通りに面
して建っている。」
正「北海道警察本部の本庁舎は、札幌市の官庁街、北二条通に面し
て建っている。」
これも微妙な話。札幌市内の正式な「通り」の名称の場合「通」
に送り仮名は付さないようです。札幌市内の地図表記もそうです
し、市のHPなどでも「通」となっています。
本書には「札幌方面大通警察署」(札幌方面中央警察署を指す架
空の名称)「大通公園」(正式名称)「大通六丁目広場」(大通
公園西六丁目の広場を指す?)など虚実が入り交じっています。
道路に関しては「南四条通り」「西五丁目通り」と「り」を送っ
たり、「国道三十六号線」と「線」を付けたり。
位置や場所を限定したり特定できる重要な表現として用いている
ので、いかにも一般的な名称・通称を使うのではなく、正式な名
称を使ったほうがいいと思います。
◎33ページ 1行目◎
誤「ミラーガラスを全面に張っているから、一見解放的で透明な
役所と想像できるが…」
正「ミラーガラスを全面に張っているから、一見開放的で透明な
役所と想像できるが…」
北海道警察本部の本庁舎ビルを表現した文章です。
「束縛・圧迫を解いて自由にする」意の[解放]ではなく、「開
け放つ、出入り自由」の意味の[開放]でしょう。
◎38ページ 12行目◎
誤「…芝生の傷(ルビ=いた)んだ箇所に新しいロール状の芝を貼
(ルビ=は)っていたのだった。」
正「…芝生の傷(ルビ=いた)んだ箇所に新しいロール状の芝を張
っていたのだった。」
こちらも細かいことです。
[貼る]は常用漢字外なので[張る]を使うほうがいいのです
が、2010年改定の新「常用漢字表」に[貼る]が加わりましたの
で、そうも主張できません。
漢字の意味からも、糊(のり)などをつけて物を平らな面につけ
る。「封筒に切手を―・る」「ポスターを―・る」「傷口に絆創
膏(ばんそうこう)を―・る」「タイルを―・って壁を仕上げる」
と同意で、多くは[貼る]と書くパターンなのでしょう。
土木用語に[張(り)芝][張芝工](芝を一定の大きさに整形
したものをのり面に張る工法で、のり面保護工としては最も古い
歴史を持つ)、また造園用語には「芝の張り方」があります。
「芝を張る」がピッタリきます。
◎40ページ 6行目ほか◎
誤「…本来はひとあたりのよい、世話好きな人物らしい。」
正「…本来は人当たりのよい、世話好きな人物らしい。」
本書では「ひと」「ひとり」「ふたり」「ひとつひとつ」と平仮
名表現が多く見られます。「ひとあたり」は、その流れでしょう
か。
14ページに「人影は見当たらない」という文章があります。
ここは「人当たり」がよろしいかと。平仮名ばかりでも読みづら
いものです。
◎44ページ 12行目◎
誤「…首をすくめて、藤川の顔色をうかがってきた。」
正「…首をすくめて、藤川の顔色を窺ってきた。」
[窺う]は新聞漢字表(2009年時点)にない文字、常用漢字外と
いうこともあり平仮名であっても漢字でも構わないのですが、33
ページに「…外からは内部は窺(ルビ=うかが)い知ることがで
きない。」とありました。
統一して漢字表記がふさわしいのでは。校正の問題です。
◎55ページ 13行目◎
誤「よく意志疎通ができるものだな」
正「よく意思疎通ができるものだな」
まず、「意○疎通」という四字言葉はない、ということも聞きま
す。
実用日本語表現辞典に[意思疎通]とは「互いに考えていること
を伝え、理解を得ること、認識を共有すること、などの意味の表
現。意思の疎通。コミュニケーションとも言う。 」とありまし
た。ネット検索で出てくるのはこれくらいでしょうか。
[意志」は「物事を成し遂げようとする心」の意で「意志強固」
「意志薄弱」「意志を貫く」などが例。
[意思]は「持っている考え、思い」の意で、法律用語に多い
そうです。例は「自由意思」「意思表示」「意思の疎通を欠く」
など。
四文字で表現するなら「意思疎通」でしょう。
◎59ページ 3行目◎
誤「…許認可に関(ルビ=かか)わる書類を精査していた。…」
正「…許認可に関わる書類を精査していた。…」
本当に細かいことです。
38ページに「造園業者が関(ルビ=かか)わっているが…」と
ルビ付きで出てきます。42ページは「きみに関わることであるの
は、たしかだと思うが」とルビなし。59ページでルビ付き、75
ページ、120ページにもルビ付きで出てきます。
表外音訓なのでルビを振るのもいいのですが、初出で付け、次か
らは省略してもいいと思うのですが。
付けるなら42ページの「関わる」にも。統一は校正の問題。
270ページでは8行目に「札幌方面本部はいっさい関(ルビ=か
か)わっていない。」、2行あとの10行目に「…架空の背景作り
に関わった。」とルビなしです。
◎92ページ 3行目◎
誤「…栗原の対応に平本を当てたということは…」
正「…栗原の対応に平本を充てたということは…」
人物に関して「充当、割り振る」の意味ですので。
※版を重ねているのですが、気になる部分が多々ありました。
著者:佐々木 譲(ささき じょう)
発行:2009年6月28日 第十七刷発行(ハルキ文庫)
『笑う警官』に続く「道警シリーズ」の第二弾
以降、『警官の紋章』『巡査の休日』『密売人』『人質』が既刊
<誤植というより校正ミス? 意図的なミス?>
◎12ページ 12行目ほか◎
誤「…札幌の歓楽街・薄野(ルビ=すすきの)も…」
正「…札幌の歓楽街・ススキノも…」
間違いとは言えないのですが、新聞用字用語集に「紛らわしい地
名」として
(1)ススキノ(2)薄野(3)すすきの
(1)は歓楽街として使う場合で「札幌・ススキノ」と書く、
(2)は地域の総称。交番は「薄野交番」、(3)は地下鉄の
駅名。行政上の地名としては存在しない
との説明があります。
フィクションです。実在の名称でなくともよいのですが、次ペー
ジに「薄野交番」が出てきますので、街を表すなら「ススキノ」
でしょうか?
同じく13ページに「薄野浄化条例」、32ページに「薄野条例」と
いう言葉が出てきます。
「ススキノ条例」(通称)を指しているものと思われます。
ちなみに正式な条例名は「札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗
営業等に係る勧誘行為等の防止に関する条例」です。
◎21ページ 15行目◎
誤「河野は五階の階床ボタンを押した。」
正「河野は五階の行先(階)ボタンを押した。」
難しい言葉に遭遇しました。「階床」は「かいしょう」と読む
のでしょうか。「かいゆか」?
建築用語で「二階床組(にかいゆかぐみ)」「二階床」「上階床
と下階床」などはあるようです。この「二」が省略された言葉な
のでしょうか?
ネットで「階床」を検索しても、明確な答えは見つかりませんで
した。
エレベーターの構造を調べてみました。
メーカーによって違いはありますが、「階床表示(灯)」という
名称が見られます。「2」「3」……「15」「16」…と階数をデジ
タル表示します。
ドア開閉ボタンには数字はありません。連続して数字が書いてあ
るのは「行先ボタン」「行先階ボタン」とありました。
「階床ボタン」という言葉は、なんとなく意味は分かりますが、
それほど一般的な言葉ではないようです。
◎32ページ 11行目ほか◎
誤「北海道警察本部の本庁舎は、札幌市の官庁街、北二条通りに面
して建っている。」
正「北海道警察本部の本庁舎は、札幌市の官庁街、北二条通に面し
て建っている。」
これも微妙な話。札幌市内の正式な「通り」の名称の場合「通」
に送り仮名は付さないようです。札幌市内の地図表記もそうです
し、市のHPなどでも「通」となっています。
本書には「札幌方面大通警察署」(札幌方面中央警察署を指す架
空の名称)「大通公園」(正式名称)「大通六丁目広場」(大通
公園西六丁目の広場を指す?)など虚実が入り交じっています。
道路に関しては「南四条通り」「西五丁目通り」と「り」を送っ
たり、「国道三十六号線」と「線」を付けたり。
位置や場所を限定したり特定できる重要な表現として用いている
ので、いかにも一般的な名称・通称を使うのではなく、正式な名
称を使ったほうがいいと思います。
◎33ページ 1行目◎
誤「ミラーガラスを全面に張っているから、一見解放的で透明な
役所と想像できるが…」
正「ミラーガラスを全面に張っているから、一見開放的で透明な
役所と想像できるが…」
北海道警察本部の本庁舎ビルを表現した文章です。
「束縛・圧迫を解いて自由にする」意の[解放]ではなく、「開
け放つ、出入り自由」の意味の[開放]でしょう。
◎38ページ 12行目◎
誤「…芝生の傷(ルビ=いた)んだ箇所に新しいロール状の芝を貼
(ルビ=は)っていたのだった。」
正「…芝生の傷(ルビ=いた)んだ箇所に新しいロール状の芝を張
っていたのだった。」
こちらも細かいことです。
[貼る]は常用漢字外なので[張る]を使うほうがいいのです
が、2010年改定の新「常用漢字表」に[貼る]が加わりましたの
で、そうも主張できません。
漢字の意味からも、糊(のり)などをつけて物を平らな面につけ
る。「封筒に切手を―・る」「ポスターを―・る」「傷口に絆創
膏(ばんそうこう)を―・る」「タイルを―・って壁を仕上げる」
と同意で、多くは[貼る]と書くパターンなのでしょう。
土木用語に[張(り)芝][張芝工](芝を一定の大きさに整形
したものをのり面に張る工法で、のり面保護工としては最も古い
歴史を持つ)、また造園用語には「芝の張り方」があります。
「芝を張る」がピッタリきます。
◎40ページ 6行目ほか◎
誤「…本来はひとあたりのよい、世話好きな人物らしい。」
正「…本来は人当たりのよい、世話好きな人物らしい。」
本書では「ひと」「ひとり」「ふたり」「ひとつひとつ」と平仮
名表現が多く見られます。「ひとあたり」は、その流れでしょう
か。
14ページに「人影は見当たらない」という文章があります。
ここは「人当たり」がよろしいかと。平仮名ばかりでも読みづら
いものです。
◎44ページ 12行目◎
誤「…首をすくめて、藤川の顔色をうかがってきた。」
正「…首をすくめて、藤川の顔色を窺ってきた。」
[窺う]は新聞漢字表(2009年時点)にない文字、常用漢字外と
いうこともあり平仮名であっても漢字でも構わないのですが、33
ページに「…外からは内部は窺(ルビ=うかが)い知ることがで
きない。」とありました。
統一して漢字表記がふさわしいのでは。校正の問題です。
◎55ページ 13行目◎
誤「よく意志疎通ができるものだな」
正「よく意思疎通ができるものだな」
まず、「意○疎通」という四字言葉はない、ということも聞きま
す。
実用日本語表現辞典に[意思疎通]とは「互いに考えていること
を伝え、理解を得ること、認識を共有すること、などの意味の表
現。意思の疎通。コミュニケーションとも言う。 」とありまし
た。ネット検索で出てくるのはこれくらいでしょうか。
[意志」は「物事を成し遂げようとする心」の意で「意志強固」
「意志薄弱」「意志を貫く」などが例。
[意思]は「持っている考え、思い」の意で、法律用語に多い
そうです。例は「自由意思」「意思表示」「意思の疎通を欠く」
など。
四文字で表現するなら「意思疎通」でしょう。
◎59ページ 3行目◎
誤「…許認可に関(ルビ=かか)わる書類を精査していた。…」
正「…許認可に関わる書類を精査していた。…」
本当に細かいことです。
38ページに「造園業者が関(ルビ=かか)わっているが…」と
ルビ付きで出てきます。42ページは「きみに関わることであるの
は、たしかだと思うが」とルビなし。59ページでルビ付き、75
ページ、120ページにもルビ付きで出てきます。
表外音訓なのでルビを振るのもいいのですが、初出で付け、次か
らは省略してもいいと思うのですが。
付けるなら42ページの「関わる」にも。統一は校正の問題。
270ページでは8行目に「札幌方面本部はいっさい関(ルビ=か
か)わっていない。」、2行あとの10行目に「…架空の背景作り
に関わった。」とルビなしです。
◎92ページ 3行目◎
誤「…栗原の対応に平本を当てたということは…」
正「…栗原の対応に平本を充てたということは…」
人物に関して「充当、割り振る」の意味ですので。
※版を重ねているのですが、気になる部分が多々ありました。
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