暗い穴 警視庁追跡捜査係
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暗い穴 警視庁追跡捜査係
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投稿日時 2017/9/3 19:51
nande3
投稿数: 128
ISBN:978-4-7584-3945-9
著者:堂場 瞬一(どうば しゅんいち)
発行:2015年9月18日 第1刷(ハルキ文庫)
「警視庁追跡捜査係」シリーズの第六弾。ハルキ文庫書き下ろし。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎42ページ 7行目◎
誤「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を取ったのだから…」
正「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を執ったのだから…」
24ページでは「あの男が現場指揮を執っていて…」と正しく表記
しています。
◎52ページ 17行目ほか◎
誤「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を挙げた。」
正「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を揚げた。」
難しい表現です。そもそも、[白旗]は「あげる」もの? 「あげ
る」ものなら、「はっきり分かるように示す」意思表示を意味す
る[挙]でもよさそうですが…「高く掲げる」意味なら[揚]になる
かと。例は「国旗を揚げる」。
ここでの[白旗]は「白い色の旗」ではなく「降伏のしるしを表す
旗」「戦意を維持しない(もはや交戦相手ではない)、降伏の意思
があることなどを相手に知らせるための旗」と理解すべきです。
どうにもならない「お手上げ」状態ですね。
日本の文献で最も古い「降伏の意味での白旗」の出例は『常陸
国風土記』で、降伏の意図で「白幡」をかかげたという記述が見
られるそうです(Wikipediaから)。
[白旗]は「あげる」ものではなく「かかげる」ものといえそうで
す。国語辞典の用例にもあるので、「…結局自ら白旗を掲げた。」
がふさわしい表現かもしれません。
◎55ページ 2行目◎
誤「しかし乗りかかった船から降りるわけにはいかない。」
正「しかし乗りかかった船(舟)から下りるわけにはいかない。」
「いったんかかわった以上は、途中でやめるわけにはいかない」と
いう例えの慣用句的表現が「乗りかかった船」。一般的な乗り物か
ら外へ出る意味では[降]を用いて「車・電車・飛行機・リフトから
降りる」となりますが、船の場合は「下船」の意味で「船から下り
る」と説明しています(新聞用字用語集から)。
◎93ページ 14行目◎
誤「…その手前の木を利用して張られた非常線が、ただならぬ雰囲気
を醸し出している。」
正「…その手前の木を利用して張られた規制線の黄色いテープが、た
だならぬ雰囲気を醸し出している。」
一般的な意味、国語辞典的に[非常線]は「重大な犯罪や災害などが
発生したときに、一定の区域に警官を配置して検問や通行禁止など
を行う警戒態勢。警戒線。」であり、「非常線を張る」と使います。
この場合、[線(ライン)]より[態勢]に重きを置く言葉で、直接ロープ
やテープなど物を張り巡らすわけではありません。
似た言葉で[規制線]があります。「立ち入ってはいけない区域と、
それ以外の区域を定める境界線」のことです。これも「規制線を張
る」と使いますが、線状・テープ状の具体的な物を指して言ってい
るのではありません。
木々を利用して規制線を示す黄色のテープを張り巡らした、と理解
すべきでしょう。ちなみに、警察が使う立ち入り禁止「KEEP OUT」
のテープには“バリケードテープ”という名前があるそうです。
◎157ページ 9行目◎
誤「…むっとするような緑の臭いが襲いかかってきて…」
正「…むっとするような緑の匂いが襲いかかってきて…」
間違いとは言い切れない、難しい表現です。
[臭い]は「悪いにおい、悪臭」のニュアンスが強く、そうとらえた
場面だと思いますので[臭い]になったのでしょう。一般的には[緑]
の「におい」は良いほうの[匂い]でしょうか…。
◎264ページ 11行目◎
誤「今日はもう、さっさと引き上げて休むか。」
正「今日はもう、さっさと引き揚げて休むか。」
36ページほかでは「六時に引き揚げです」などど正しく使っている
のですが…。
◎271ページ 10行目◎
誤「…怪我もされていたし、一応簡単に手当はしました」
正「…怪我もされていたし、一応簡単に手当てはしました」
244ページに「…真意を見抜き、手当てするのではなく、頭を一発ひっ
ぱたいてやりたくなった。」という文章があり、正しく[手当て]と使って
ています。[手当]は金銭関係。301ページにある「お手当をくれるよう
な人はいません」の使い方です。校正上の問題です。
◎397ページ 3行目◎
誤「西川は手をメガフォンにして呼びかけた。」
正「西川は手をメガホンにして呼びかけた。」
外来語表記ですので間違いとは言い切れませんが、一般的には「メガ
ホン」です。メガホン(英語:Megaphone)は、声を拡声するために用い
られる器具。
◎416ページ 15行目◎
誤「…推理の仕方は違っても、根っ子の部分が似てくるのは仕方ない…」
正「…推理の仕方は違っても、根っこの部分が似てくるのは仕方ない…」
これも難しい表記です。辞典によっては「根っ子」「根っこ」両方出て
きますので。新聞用字用語集は、「根っ子」は慣用度が低いため「根っ
こ、首根っこ」に、としています。
[根]に接尾辞としての[子(こ)]が付いた表現、という説明もあります。
「名詞に付いて位置を表す」用法に当たり、
角子・隅子(すみっこ)…隅のほう。
端子(はじっこ)…端(はし)のほう。
根子(ねっこ)…根のほう。根方(ねかた)。根元。根株。
と。
また、[根][根っこ][根もと]を同列に扱い、「植物の体の支持、水分と
栄養分の吸収などを行う部分。ふつうは地中にある」を共通する意味に
挙げ、[根っこ]は、切り株の意にも用いる、[根]より話し言葉的とする
辞典もあります。
[子]だと「子ども」の印象が強く、根の子どもと受け取るのもアリ、に
なってしまいそうで怖いです。「…根の部分が似てくる」「…根もとの
部分が似てくる」と書き換えても意味が通じるので、[根っこ]の方が優
しい表現で正しいのではないかと個人的には考えています。蛇足でした。
著者:堂場 瞬一(どうば しゅんいち)
発行:2015年9月18日 第1刷(ハルキ文庫)
「警視庁追跡捜査係」シリーズの第六弾。ハルキ文庫書き下ろし。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎42ページ 7行目◎
誤「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を取ったのだから…」
正「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を執ったのだから…」
24ページでは「あの男が現場指揮を執っていて…」と正しく表記
しています。
◎52ページ 17行目ほか◎
誤「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を挙げた。」
正「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を揚げた。」
難しい表現です。そもそも、[白旗]は「あげる」もの? 「あげ
る」ものなら、「はっきり分かるように示す」意思表示を意味す
る[挙]でもよさそうですが…「高く掲げる」意味なら[揚]になる
かと。例は「国旗を揚げる」。
ここでの[白旗]は「白い色の旗」ではなく「降伏のしるしを表す
旗」「戦意を維持しない(もはや交戦相手ではない)、降伏の意思
があることなどを相手に知らせるための旗」と理解すべきです。
どうにもならない「お手上げ」状態ですね。
日本の文献で最も古い「降伏の意味での白旗」の出例は『常陸
国風土記』で、降伏の意図で「白幡」をかかげたという記述が見
られるそうです(Wikipediaから)。
[白旗]は「あげる」ものではなく「かかげる」ものといえそうで
す。国語辞典の用例にもあるので、「…結局自ら白旗を掲げた。」
がふさわしい表現かもしれません。
◎55ページ 2行目◎
誤「しかし乗りかかった船から降りるわけにはいかない。」
正「しかし乗りかかった船(舟)から下りるわけにはいかない。」
「いったんかかわった以上は、途中でやめるわけにはいかない」と
いう例えの慣用句的表現が「乗りかかった船」。一般的な乗り物か
ら外へ出る意味では[降]を用いて「車・電車・飛行機・リフトから
降りる」となりますが、船の場合は「下船」の意味で「船から下り
る」と説明しています(新聞用字用語集から)。
◎93ページ 14行目◎
誤「…その手前の木を利用して張られた非常線が、ただならぬ雰囲気
を醸し出している。」
正「…その手前の木を利用して張られた規制線の黄色いテープが、た
だならぬ雰囲気を醸し出している。」
一般的な意味、国語辞典的に[非常線]は「重大な犯罪や災害などが
発生したときに、一定の区域に警官を配置して検問や通行禁止など
を行う警戒態勢。警戒線。」であり、「非常線を張る」と使います。
この場合、[線(ライン)]より[態勢]に重きを置く言葉で、直接ロープ
やテープなど物を張り巡らすわけではありません。
似た言葉で[規制線]があります。「立ち入ってはいけない区域と、
それ以外の区域を定める境界線」のことです。これも「規制線を張
る」と使いますが、線状・テープ状の具体的な物を指して言ってい
るのではありません。
木々を利用して規制線を示す黄色のテープを張り巡らした、と理解
すべきでしょう。ちなみに、警察が使う立ち入り禁止「KEEP OUT」
のテープには“バリケードテープ”という名前があるそうです。
◎157ページ 9行目◎
誤「…むっとするような緑の臭いが襲いかかってきて…」
正「…むっとするような緑の匂いが襲いかかってきて…」
間違いとは言い切れない、難しい表現です。
[臭い]は「悪いにおい、悪臭」のニュアンスが強く、そうとらえた
場面だと思いますので[臭い]になったのでしょう。一般的には[緑]
の「におい」は良いほうの[匂い]でしょうか…。
◎264ページ 11行目◎
誤「今日はもう、さっさと引き上げて休むか。」
正「今日はもう、さっさと引き揚げて休むか。」
36ページほかでは「六時に引き揚げです」などど正しく使っている
のですが…。
◎271ページ 10行目◎
誤「…怪我もされていたし、一応簡単に手当はしました」
正「…怪我もされていたし、一応簡単に手当てはしました」
244ページに「…真意を見抜き、手当てするのではなく、頭を一発ひっ
ぱたいてやりたくなった。」という文章があり、正しく[手当て]と使って
ています。[手当]は金銭関係。301ページにある「お手当をくれるよう
な人はいません」の使い方です。校正上の問題です。
◎397ページ 3行目◎
誤「西川は手をメガフォンにして呼びかけた。」
正「西川は手をメガホンにして呼びかけた。」
外来語表記ですので間違いとは言い切れませんが、一般的には「メガ
ホン」です。メガホン(英語:Megaphone)は、声を拡声するために用い
られる器具。
◎416ページ 15行目◎
誤「…推理の仕方は違っても、根っ子の部分が似てくるのは仕方ない…」
正「…推理の仕方は違っても、根っこの部分が似てくるのは仕方ない…」
これも難しい表記です。辞典によっては「根っ子」「根っこ」両方出て
きますので。新聞用字用語集は、「根っ子」は慣用度が低いため「根っ
こ、首根っこ」に、としています。
[根]に接尾辞としての[子(こ)]が付いた表現、という説明もあります。
「名詞に付いて位置を表す」用法に当たり、
角子・隅子(すみっこ)…隅のほう。
端子(はじっこ)…端(はし)のほう。
根子(ねっこ)…根のほう。根方(ねかた)。根元。根株。
と。
また、[根][根っこ][根もと]を同列に扱い、「植物の体の支持、水分と
栄養分の吸収などを行う部分。ふつうは地中にある」を共通する意味に
挙げ、[根っこ]は、切り株の意にも用いる、[根]より話し言葉的とする
辞典もあります。
[子]だと「子ども」の印象が強く、根の子どもと受け取るのもアリ、に
なってしまいそうで怖いです。「…根の部分が似てくる」「…根もとの
部分が似てくる」と書き換えても意味が通じるので、[根っこ]の方が優
しい表現で正しいのではないかと個人的には考えています。蛇足でした。
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