TENGU てんぐ
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投稿日時 2014/6/17 19:40 | 最終変更
nande3
投稿数: 128
ISBN:978-4-396-33413-0
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2008年4月15日 第2刷(祥伝社文庫)
第9回大藪春彦賞受賞作。
古本屋で見つけた「古い文庫本」です。面白く読みました。
以下、気になった点です。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎7ページ 6行目◎
誤「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き上げるか。」
正「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き揚げるか。」
◎13ページ 3行目◎
誤「…座敷には四人掛けの座卓が三つ並び…」
正「…座敷には四人用の座卓(大人四人が座れる大きさの座卓)が
三つ並び…」
微妙ですが、何か「掛け」ではニュアンスが違うような気がし
て…。
テーブルやソファは「○人掛け」という単位で大きさ・サイズを
示すようですが、日本を代表する家具・座卓には使わないと思い
います。
座卓は、幅・奥行・高さなどで大きさを示しているかと。
でも、和洋折衷で「座卓テーブル」と表記することもあるし…?
◎13ページ 11行目◎
誤「女はおしぼりと箸休めを道平の前に置くと…」
正「女はおしぼりと箸置きを道平の前に置くと…」
これも微妙。間違いではありませんが、読み手に疑問を抱かせる
使い方だと思います。
[箸休め]は、本来「日本料理中に見られる料理(おかずや惣菜)
の一形態で、食事の途中で気分転換や口の中をさっぱりさせるた
めに供されるもの」と押さえたほうがいいと思います。
[箸置き]は、「卓上で箸を受けるための小物。箸が転がり落ちる
のを防ぐために用いるもの」と、本来の意味で押さえるべきか。
Wikipediaでは、[箸置き]は、「箸枕、箸休めともいわれる」と
記述していますので、間違いとは言い切れません。
食事の始まりではなく、途中で[箸休め]の小鉢が運ばれてきたら
何と表現するのでしょう?
◎17ページ 5行目◎
誤「…今年いっぱいで、停年になるみたい」
正「…今年いっぱいで、定年になるみたい」
こちらも間違いとは言えませんが…。
現在の一般的な表記は[定年]。戦前は[停年]が多かったようで
す。
昭和20年代後半になって法令用語は「定年」に統一されることに
なり、これをきっかけに一般に[停年]より[定年]が広く使われる
ようになったようです。新聞や放送関係も[定年]で統一していま
す。
あえて意味づけすると、
[定年]=法規・規則により、一定の年齢到達を事由に退官・退職
することになっている年齢。また、退官・退職すること。
[停年]=大学や自衛隊での、定年のこと。
のようです。
◎49ページ 4行目◎
誤「…捜査本部前で、第一回目の記者会見が開かれた。」
正「…捜査本部前で、一回目の記者会見が開かれた。」
順序を表すために数字に付ける接頭語の[第]と順序を表す接尾語
の[目]は、同時に用いるものではないと思います。
「第一回記者会見」か「一回目の記者会見」に。
「新聞用字用語集」では、
「第○回目」「第○日目」という使い方はしない。「第○回」
「第○日」または「○回目」「○日目」と書く。
と規定し説明しています。
◎78ページ 6行目ほか◎
誤「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存知ですか」
正「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存じですか」
◎90ページ 3行目◎
誤「…自然と物語りは一人歩きを始めるだろう。」
正「…自然と物語りは独り歩きを始めるだろう。」
[一人歩き]は一般用語で、「夜道の一人歩きは危険」などと
使います。
[独り歩き]は、「独立、勝手に動く」という意で、「赤ちゃんが
独り歩き、言葉の独り歩き」などと使う、と「新聞用語用字集」
で説明しています。
◎116ページ 5行目◎
誤「以後十年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」
正「以後一〇年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」
間違いではなく、校正ミスです。
この本は縦書きで、数字は漢数字の位なし表記にしています。
同じページの9行目に「三〇年以上にもわたるベトナム戦争」とい
う文章があります。(本書では漢数字の[〇]ではなく記号の[○]
印を使っています)
◎154ページ 5行目◎
誤「…中からキャビネ版の数枚の写真を抜いて…」
正「…中からキャビネ判の数枚(数葉)の写真を抜いて…」
◎293ページ 5行目◎
誤「予想以上の成果を上げた連載だった。」
正「予想以上の成果を挙げた連載だった。」
◎350ページ 14行目◎
誤「我々の実験は、初日に第一段階を超えた。」
正「我々の実験は、初日に第一段階を越えた。」
「場所・時間・点を通り過ぎる」という意味で[越]。
「数量・基準・限度を上回る」という意味では[超]。
223ページで「…知識の範疇を超えてはいけない。」、351ページ
で「…ついに理性の限界を超えた。」と使っていますので、その
流れで[超]になったのでしょうか。
◎372ページ 6行目◎
誤「その声は意外なほど穏やかで、暖かく、知性と威厳に…」
正「その声は意外なほど穏やかで、温かく、知性と威厳に…」
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2008年4月15日 第2刷(祥伝社文庫)
第9回大藪春彦賞受賞作。
古本屋で見つけた「古い文庫本」です。面白く読みました。
以下、気になった点です。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎7ページ 6行目◎
誤「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き上げるか。」
正「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き揚げるか。」
◎13ページ 3行目◎
誤「…座敷には四人掛けの座卓が三つ並び…」
正「…座敷には四人用の座卓(大人四人が座れる大きさの座卓)が
三つ並び…」
微妙ですが、何か「掛け」ではニュアンスが違うような気がし
て…。
テーブルやソファは「○人掛け」という単位で大きさ・サイズを
示すようですが、日本を代表する家具・座卓には使わないと思い
います。
座卓は、幅・奥行・高さなどで大きさを示しているかと。
でも、和洋折衷で「座卓テーブル」と表記することもあるし…?
◎13ページ 11行目◎
誤「女はおしぼりと箸休めを道平の前に置くと…」
正「女はおしぼりと箸置きを道平の前に置くと…」
これも微妙。間違いではありませんが、読み手に疑問を抱かせる
使い方だと思います。
[箸休め]は、本来「日本料理中に見られる料理(おかずや惣菜)
の一形態で、食事の途中で気分転換や口の中をさっぱりさせるた
めに供されるもの」と押さえたほうがいいと思います。
[箸置き]は、「卓上で箸を受けるための小物。箸が転がり落ちる
のを防ぐために用いるもの」と、本来の意味で押さえるべきか。
Wikipediaでは、[箸置き]は、「箸枕、箸休めともいわれる」と
記述していますので、間違いとは言い切れません。
食事の始まりではなく、途中で[箸休め]の小鉢が運ばれてきたら
何と表現するのでしょう?
◎17ページ 5行目◎
誤「…今年いっぱいで、停年になるみたい」
正「…今年いっぱいで、定年になるみたい」
こちらも間違いとは言えませんが…。
現在の一般的な表記は[定年]。戦前は[停年]が多かったようで
す。
昭和20年代後半になって法令用語は「定年」に統一されることに
なり、これをきっかけに一般に[停年]より[定年]が広く使われる
ようになったようです。新聞や放送関係も[定年]で統一していま
す。
あえて意味づけすると、
[定年]=法規・規則により、一定の年齢到達を事由に退官・退職
することになっている年齢。また、退官・退職すること。
[停年]=大学や自衛隊での、定年のこと。
のようです。
◎49ページ 4行目◎
誤「…捜査本部前で、第一回目の記者会見が開かれた。」
正「…捜査本部前で、一回目の記者会見が開かれた。」
順序を表すために数字に付ける接頭語の[第]と順序を表す接尾語
の[目]は、同時に用いるものではないと思います。
「第一回記者会見」か「一回目の記者会見」に。
「新聞用字用語集」では、
「第○回目」「第○日目」という使い方はしない。「第○回」
「第○日」または「○回目」「○日目」と書く。
と規定し説明しています。
◎78ページ 6行目ほか◎
誤「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存知ですか」
正「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存じですか」
◎90ページ 3行目◎
誤「…自然と物語りは一人歩きを始めるだろう。」
正「…自然と物語りは独り歩きを始めるだろう。」
[一人歩き]は一般用語で、「夜道の一人歩きは危険」などと
使います。
[独り歩き]は、「独立、勝手に動く」という意で、「赤ちゃんが
独り歩き、言葉の独り歩き」などと使う、と「新聞用語用字集」
で説明しています。
◎116ページ 5行目◎
誤「以後十年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」
正「以後一〇年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」
間違いではなく、校正ミスです。
この本は縦書きで、数字は漢数字の位なし表記にしています。
同じページの9行目に「三〇年以上にもわたるベトナム戦争」とい
う文章があります。(本書では漢数字の[〇]ではなく記号の[○]
印を使っています)
◎154ページ 5行目◎
誤「…中からキャビネ版の数枚の写真を抜いて…」
正「…中からキャビネ判の数枚(数葉)の写真を抜いて…」
◎293ページ 5行目◎
誤「予想以上の成果を上げた連載だった。」
正「予想以上の成果を挙げた連載だった。」
◎350ページ 14行目◎
誤「我々の実験は、初日に第一段階を超えた。」
正「我々の実験は、初日に第一段階を越えた。」
「場所・時間・点を通り過ぎる」という意味で[越]。
「数量・基準・限度を上回る」という意味では[超]。
223ページで「…知識の範疇を超えてはいけない。」、351ページ
で「…ついに理性の限界を超えた。」と使っていますので、その
流れで[超]になったのでしょうか。
◎372ページ 6行目◎
誤「その声は意外なほど穏やかで、暖かく、知性と威厳に…」
正「その声は意外なほど穏やかで、温かく、知性と威厳に…」
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- TENGU てんぐ (nande3, 2014/6/17 19:40)