早春の化石
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投稿日時 2014/8/24 21:10
nande3
投稿数: 128
ISBN:978-4-396-63339-4
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2010年4月20日 初版第1刷
『渇いた夏』に続く、私立探偵・神山健介シリーズ第二弾。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎7ページ 7行目◎
誤「…全身を蝕む緊張は治まらなかった。」
正「…全身を蝕む緊張は収まらなかった。」
新聞用字用語集によると、[治]は「乱の対語、鎮まる、苦痛が去る」
という意味で、「痛みが治まる」「気が治まる」「国が治まる」など
と使います。
一方の[収]は「収容、収拾、取り込む、元通りの安定した状態にする」
という意で、「怒りを収める」「インフレが収まる」「興奮が収まる」
「写真・ビデオに収める」などを例に挙げています。
◎12ページ 5行目◎
誤「…眩い陽射しが射し込んでいた。」
正「…眩い陽(陽光)が射し込んでいた。」
[陽射し(日差し)]と[射し込む(差し込む)]で重複表現に当たると
思います。
143ページでは「…目映い陽光が射し込みはじめた。」と表現していま
す。
◎12ページ 13行目◎
誤「部屋が温まってくると…」
正「部屋が暖まってくると…」
◎15ページ 16行目◎
誤「エンジンを十分に暖気し、一度アクセルを踏み込む。」
正「エンジンを十分に暖機し、一度アクセルを踏み込む。」
[暖気]は「暖かい気候。また、あたたかい程度。あたたかさ」。
単に[暖機]と呼ばれることもありますが、「機械を始動した直後などに
低負荷での運転を一定時間行う」機械用語の一つで[暖機運転]のこと。
◎20ページ 2行目◎
誤「…性格や立振舞に至るまで…」
正「…性格や立ち居振る舞いに至るまで…」
送り仮名は置いておきます。
[起居]を指していう言葉なのですが、「立ち振る舞い」になると、立ち
姿のみで座った状態の身のこなしが抜けることになります。
本来の意味で正しく使うならば「立ち居振る舞い」にしなくてはならな
いでしょう。
現在では「立ち居振る舞い」と同じ意で「立ち振る舞い」が使われる
ケースが多いようですが、間違っていると思います。
「旅立ち・門出を祝って供されるごちそう。たちぶるまい。」という意
味の「立ち - 振る舞い」という言葉があるそうです。
似ている言葉であるがゆえに、間違った使われ方をして、その結果、
「立ち振る舞い」=「立ち居振る舞い」になってしまったのでしょう。
◎27ページ 14行目◎
誤「家族の人たちに、申し訳ない。」
正「家族に(家族の皆さんに)、申し訳ない。」
微妙な表現です。「○○家の人たち」なら分かるのですが…。違和感。
「住民の人たち」と同じ重複表現になるかもしれません。
◎72ページ 11行目◎
誤「駅の階段を登っていく。」
正「駅の階段を上っていく。」
◎84ページ 5行目◎
誤「…身換(ルビ=みがわ)りになったんですよ。」
正「…身代わりになったんですよ。」
[換]という漢字にこだわりがあるのかもしれませんが…「交換」という
意味ではないので、[身代(わ)り]か[身替(わ)り]に。
新聞用字用語集では[身代わり]としています。
◎85ページ 14行目◎
誤「別に。どうせおれは、一人者だ」
正「別に。どうせおれは、独り者だ」
◎89ページ 6行目◎
誤「神山はツナギに着換え…」
正「神山はツナギに着替え…」
やはり[換]が好きなようです。[着換え]は間違いではありませんが、
新聞用字用語集では[着替え]に統一する、としています。
◎117ページ 14行目◎
誤「同じ歓楽街でも、札幌(ルビ=さっぽろ)の薄野(ルビ=すすきの)
や東京の吉原(ルビ=よしわら)とは違う。」
正「同じ歓楽街でも、札幌のススキノや東京の吉原(ルビ=よしわら)とは
違う。」
間違いとは言い切れませんが…。
新聞用字用語集が紛らわしい地名として挙げています。
[ススキノ]は、歓楽街として使う場合で「札幌・ススキノ」と書く。
[薄野]は、地域の総称。交番は「薄野交番」。
[すすきの]は、地下鉄の駅名で、行政上の地名としては存在しない。
◎132ページ 5行目◎
誤「それなら、他の子と換わりますか」
正「それなら、他の子と代わりますか」
◎174ページ 14行目◎
誤「…(いわき東署の…)入り口に昇る階段を駆け上がった。」
正「…(いわき東署の…)入り口階段を駆け上がった。」
警察庁舎の玄関(入り口)に至るアプローチ部分が階段になっているの
だと思います。「入り口に続く階段」「入り口に至る階段」のことで、
「入り口に昇る」という表現は、普通は有り得ないでしょう。「入り口
に向かう」「入り口を目指して」くらい。
「高床式住居の入り口から垂れ下がるロープを使ってよじ登る」?
◎218ページ 15行目◎
誤「…何物にも代え難(ルビ=がた)いほどに美しい体を。」
正「…何物にも替え難(ルビ=がた)いほどに美しい体を。」
微妙な使い方ですが、新聞用字用語集では「替え難い」としています。
◎228ページ 5行目ほか◎
誤「別に、気を遣ってもらわなくてもかまわない。」
正「別に、気を使ってもらわなくてもかまわない。」
厳密には間違いではないかもしれません。
新聞用字用語集では、[使]を「一般用語。主に動詞に」、[遣]を「特別
用語。主に名詞に」と区別して説明しています。
[使]は「お使いに行く」「気・心・神経を使う」「使い古し」など。
[遣]は「息遣い」「気遣う」「仮名遣い」「心遣い」「無駄遣い」「文
字遣い」など。
◎229ページ 5行目◎
誤「間もなく、〇時ちょうどになる。…」
正「間もなく、零時ちょうどになる。」
これも間違いではありませんが、誤解のもと。
◎252ページ 2行目◎
誤「…垂幕の下に数一〇人の背広姿、もしくは軍服姿の…」
正「…垂幕の下に数十人の背広姿、もしくは軍服姿の…」
漢数字(または算用数字)の「〇から九まで」を用い、数を表す単位
「十、百、千、…」を使わないで概数を示すには無理というか限界があ
ると思います。
この小説は縦書きで、「一〇時一五分」「二一歳」「四〇〇人」「一〇
万キロ」などと表記しています。一方で年齢に関しては「三十代」「五
十代」などと表記しています。
120人から130人を示す概数の「百数十人」を示すとすると、「一〇〇
数一〇人」? やはり無理があります。
211ページにも「数一〇年前」という表現がありました。
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2010年4月20日 初版第1刷
『渇いた夏』に続く、私立探偵・神山健介シリーズ第二弾。
<誤植というより校正ミス? 意図?>
◎7ページ 7行目◎
誤「…全身を蝕む緊張は治まらなかった。」
正「…全身を蝕む緊張は収まらなかった。」
新聞用字用語集によると、[治]は「乱の対語、鎮まる、苦痛が去る」
という意味で、「痛みが治まる」「気が治まる」「国が治まる」など
と使います。
一方の[収]は「収容、収拾、取り込む、元通りの安定した状態にする」
という意で、「怒りを収める」「インフレが収まる」「興奮が収まる」
「写真・ビデオに収める」などを例に挙げています。
◎12ページ 5行目◎
誤「…眩い陽射しが射し込んでいた。」
正「…眩い陽(陽光)が射し込んでいた。」
[陽射し(日差し)]と[射し込む(差し込む)]で重複表現に当たると
思います。
143ページでは「…目映い陽光が射し込みはじめた。」と表現していま
す。
◎12ページ 13行目◎
誤「部屋が温まってくると…」
正「部屋が暖まってくると…」
◎15ページ 16行目◎
誤「エンジンを十分に暖気し、一度アクセルを踏み込む。」
正「エンジンを十分に暖機し、一度アクセルを踏み込む。」
[暖気]は「暖かい気候。また、あたたかい程度。あたたかさ」。
単に[暖機]と呼ばれることもありますが、「機械を始動した直後などに
低負荷での運転を一定時間行う」機械用語の一つで[暖機運転]のこと。
◎20ページ 2行目◎
誤「…性格や立振舞に至るまで…」
正「…性格や立ち居振る舞いに至るまで…」
送り仮名は置いておきます。
[起居]を指していう言葉なのですが、「立ち振る舞い」になると、立ち
姿のみで座った状態の身のこなしが抜けることになります。
本来の意味で正しく使うならば「立ち居振る舞い」にしなくてはならな
いでしょう。
現在では「立ち居振る舞い」と同じ意で「立ち振る舞い」が使われる
ケースが多いようですが、間違っていると思います。
「旅立ち・門出を祝って供されるごちそう。たちぶるまい。」という意
味の「立ち - 振る舞い」という言葉があるそうです。
似ている言葉であるがゆえに、間違った使われ方をして、その結果、
「立ち振る舞い」=「立ち居振る舞い」になってしまったのでしょう。
◎27ページ 14行目◎
誤「家族の人たちに、申し訳ない。」
正「家族に(家族の皆さんに)、申し訳ない。」
微妙な表現です。「○○家の人たち」なら分かるのですが…。違和感。
「住民の人たち」と同じ重複表現になるかもしれません。
◎72ページ 11行目◎
誤「駅の階段を登っていく。」
正「駅の階段を上っていく。」
◎84ページ 5行目◎
誤「…身換(ルビ=みがわ)りになったんですよ。」
正「…身代わりになったんですよ。」
[換]という漢字にこだわりがあるのかもしれませんが…「交換」という
意味ではないので、[身代(わ)り]か[身替(わ)り]に。
新聞用字用語集では[身代わり]としています。
◎85ページ 14行目◎
誤「別に。どうせおれは、一人者だ」
正「別に。どうせおれは、独り者だ」
◎89ページ 6行目◎
誤「神山はツナギに着換え…」
正「神山はツナギに着替え…」
やはり[換]が好きなようです。[着換え]は間違いではありませんが、
新聞用字用語集では[着替え]に統一する、としています。
◎117ページ 14行目◎
誤「同じ歓楽街でも、札幌(ルビ=さっぽろ)の薄野(ルビ=すすきの)
や東京の吉原(ルビ=よしわら)とは違う。」
正「同じ歓楽街でも、札幌のススキノや東京の吉原(ルビ=よしわら)とは
違う。」
間違いとは言い切れませんが…。
新聞用字用語集が紛らわしい地名として挙げています。
[ススキノ]は、歓楽街として使う場合で「札幌・ススキノ」と書く。
[薄野]は、地域の総称。交番は「薄野交番」。
[すすきの]は、地下鉄の駅名で、行政上の地名としては存在しない。
◎132ページ 5行目◎
誤「それなら、他の子と換わりますか」
正「それなら、他の子と代わりますか」
◎174ページ 14行目◎
誤「…(いわき東署の…)入り口に昇る階段を駆け上がった。」
正「…(いわき東署の…)入り口階段を駆け上がった。」
警察庁舎の玄関(入り口)に至るアプローチ部分が階段になっているの
だと思います。「入り口に続く階段」「入り口に至る階段」のことで、
「入り口に昇る」という表現は、普通は有り得ないでしょう。「入り口
に向かう」「入り口を目指して」くらい。
「高床式住居の入り口から垂れ下がるロープを使ってよじ登る」?
◎218ページ 15行目◎
誤「…何物にも代え難(ルビ=がた)いほどに美しい体を。」
正「…何物にも替え難(ルビ=がた)いほどに美しい体を。」
微妙な使い方ですが、新聞用字用語集では「替え難い」としています。
◎228ページ 5行目ほか◎
誤「別に、気を遣ってもらわなくてもかまわない。」
正「別に、気を使ってもらわなくてもかまわない。」
厳密には間違いではないかもしれません。
新聞用字用語集では、[使]を「一般用語。主に動詞に」、[遣]を「特別
用語。主に名詞に」と区別して説明しています。
[使]は「お使いに行く」「気・心・神経を使う」「使い古し」など。
[遣]は「息遣い」「気遣う」「仮名遣い」「心遣い」「無駄遣い」「文
字遣い」など。
◎229ページ 5行目◎
誤「間もなく、〇時ちょうどになる。…」
正「間もなく、零時ちょうどになる。」
これも間違いではありませんが、誤解のもと。
◎252ページ 2行目◎
誤「…垂幕の下に数一〇人の背広姿、もしくは軍服姿の…」
正「…垂幕の下に数十人の背広姿、もしくは軍服姿の…」
漢数字(または算用数字)の「〇から九まで」を用い、数を表す単位
「十、百、千、…」を使わないで概数を示すには無理というか限界があ
ると思います。
この小説は縦書きで、「一〇時一五分」「二一歳」「四〇〇人」「一〇
万キロ」などと表記しています。一方で年齢に関しては「三十代」「五
十代」などと表記しています。
120人から130人を示す概数の「百数十人」を示すとすると、「一〇〇
数一〇人」? やはり無理があります。
211ページにも「数一〇年前」という表現がありました。
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