チャイナ・インベイジョン 中国日本侵蝕
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投稿日時 2014/10/21 17:02 | 最終変更
nande3
投稿数: 128
ISBN:978-4-06-218066-5
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2012年11月19日 第1刷
<誤植というより校正ミス? 意図的なミス?>
◎14ページ 11行目◎
誤「…程度のいいものなら五〇〇万円を越える。」
正「…程度のいいものなら五〇〇万円を超える。」
「一定の分量・限界を過ぎて先に行く」という意で[超]に。
(新聞用字用語集から)
95ページの「時速五〇キロを越えると…」なども[超]に。180ページ
では「体重五〇〇キロを超す大型の猛獣」と正しく使っています。
◎18ページ 9行目◎
誤「停年真際(ルビ=まぎわ)の初老の男が二人と…」
正「定年間際の初老の男が二人と…」
間違いとは言えないのですが…。
まず[停年]。戦前の辞典などは[定年]と[停年]を並列または許容す
る形で掲げていますが、昭和20年代後半(1954年)になって法令用語
は[定年]に統一されることになり、これをきっかけに一般に[停年]
より[定年]が広く使われるようになったようです。
ワープロソフト文字変換でも「定年=一般的、定年で退職する」、
「停年=大学・自衛隊、停年で退官する」と説明しています。
同じように[真際][間際]併記から[間際]に統一されてきています。
(新聞用字用語集)
◎20ページ 2行目◎
誤「退職金は停年まで勤務した場合と同じ満額が保障される。」
正「退職金は定年まで勤務した場合と同じ満額が保証される。」
「権利・自由・安全を守る」意の[保障]ではなく、「請け負う」意の
[保証]ではないかと思うのですが、どうでしょう。
◎23ページ 10行目◎
誤「…会長だか何だか黒幕の名前も上がっていたし…」
正「…会長だか何だか黒幕の名前も挙がっていたし…」
「名を上げる=有名になる」と捉えられかねません。「はっきり分
かるように示す」という意で[挙]に。
◎30ページ 12行目◎
誤「秋の穏やかな陽光に光る豊平川を見ると…」
正「秋の穏やかな陽光にきらめく豊平川を見ると…」
「陽光に光る」は[光]の重複表現とも思われます。
57ページの「壇上に上がった」も重複表現と言えるでしょう。
「登壇した」「演壇に上がった」「壇上に立った」などの表現が
ありますので、[上]を重ねなくともいいのでは。
◎30ページ 18行目◎
誤「…三階まで階段を駆け登った。」
正「…三階まで階段を駆け上った(駆け上がった)。」
「上り口」は[階段]、「登り口」は[山]。
また、階段は「駆けのぼる」より「駆けあがる(駆け上がる)」が
一般的ではないでしょうか。
◎33ページ 14行目◎
誤「すすきの交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」
正「ススキノ交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」
これも間違いとは断言できませんが…。
平仮名「すすきの」は地下鉄の駅名で、行政上の地名としては存在
しません。カタカナ「ススキノ」は歓楽街として使う場合。漢字の
「薄野」は地域の総称で、交番は「薄野交番」。(新聞用字用語集
から)
145ページにある「すすきのに近いチェーンのホテルにチェックイン
した。」も「ススキノに近い―」に。
◎35ページ 16行目ほか◎
誤「…札幌まで飲みに出てくるのは珍らしい。」
正「…札幌まで飲みに出てくるのは珍しい。」
送り仮名には作者のこだわりがあるのかもしれません。しかし、一
般的には「しい」を送って「珍しい」でしょう。
「送り仮名の付け方改正告示」から―
本則活用のある語は活用語尾を送る。
語幹が「し」で終わる形容詞は「し」から送る。(シク活用)
{例}著しい 惜しい 悔しい 恋しい 珍しい
◎40ページ 9行目◎
誤「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに当てた。」
正「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに充てた。」
◎41ページ 5行目◎
誤「沖縄本島は、かねてから中国政府が領有権を主張する…」
正「沖縄本島は、かねて中国政府が領有権を主張する…」
「かねてから」は重複表現(新聞用字用語集の説明)。
「予ねて(かねて)」というに言葉には「以前から。前から。前
もって」という意味があります。文字ではなく意味の重複で、「以
前からから」になってしまいます。
言い換えるなら「かねてより」でしょうか。
◎57ページ 4行目◎
誤「…今夜は、まず祝杯を上げよう」
正「…今夜は、まず祝杯を挙げよう」
◎85ページ 11行目ほか◎
誤「…根拠のない風評が一人歩きをはじめ…」
正「…根拠のない風評が独り歩きをはじめ…」
89ページにある「独り言」と漢字の用法は同じ。
◎87ページ 11行目ほか◎
誤「…という会社を御存知でしたか。」
正「…という会社を御(ご)存じでしたか。」
◎112ページ 7行目◎
誤「…積極的な誘致活動が押し進められてきた。」
正「…積極的な誘致活動が推し進められてきた。」
114ページでは「軍拡を推し進め」と正しく使っています。
◎122ページ 1行目◎
誤「第一回目は名古屋、二回目は新潟…」
正「一回目は名古屋、二回目は新潟…」
接頭語の[第]と接尾語の[目]が同時に付くことはないと思います。
「第一回」か「一回目」。
◎340ページ 15行目◎
誤「…二つの命令系統の意志が一致しなくては…」
正「…二つの命令系統の意思が一致しなくては…」
微妙な表現です。
「成し遂げようとする心」の[意志]ではなく、「考えや思い」の[意
思]になるのでは。
※このほか、細かくなりますが、「関って」「係わって」の混在な
ど、校正上の問題と考えざるを得ない表記が多くありました。
興味深い内容の小説だけに残念です。
<追加>
◎30ページ 10行目◎
誤「…豊平川の清流が蕩々(ルビ=とうとう)と流れている。」
正「…豊平川の清流が滔々(ルビ=とうとう)と流れている。」
同じ読みでも[蕩蕩]と[滔滔]では意味が違います。辞典にもよりますが
[蕩蕩]は「広く大きなさま」「広々としておだやかなさま」。
[滔滔]は「水のさかんに流れるさま」「弁舌のよどみないさま」「強い
勢いである方向にむかうさま」。
といったニュアンスの説明が多いはず。
例として挙げているのは「蕩々たる大河」「滔々と流れる大河」。
同じく河を修飾するのですが、河幅に注目するか流量に注目するか、目
線の違いがあるようです。
◎204ページ 1行目ほか◎
誤「…厚間は由紀子と運転を替わった。」
正「…厚間は由紀子と運転を代わった。」
「前の物事をやめて別の物事をする、新しいものにする」との意の[替]
ではなく、「代理、代表、交代」の意の[代]に。(新聞用字用語集)
219ページの「“あちらさん”の“社長”が替わるまでは…」も[代]。
反対に、216ページの「…西側を中国が支配し、代わりに東側を米国に与
えるという…」は、[替え地][入れ替え]の意味があることから[代]では
なく[替]になるのではないでしょうか。
※余談ですが、気になることをもう一点。
30ページ。登場人物の厚間がランニングを終え札幌市豊平区・中の島
にあるマンションに帰ってきます。階下の郵便受けから朝刊一紙を取
り出し、部屋に入って開くのが『十勝毎日新聞』なのです。
『十勝毎日新聞(通称:勝毎・かちまい)』は、北海道帯広市に本社を
置く十勝毎日新聞社が、帯広・十勝管内に向けて発行している実在の
夕刊紙で発行部数は88,684部(2009年9月現在:日本ABC協会調べ)。
札幌市生まれの厚間が、全国紙や北海道でシェア7割の『北海道新聞
(通称:道新・どうしん)』の朝刊ではなく、地方紙の『十勝毎日新
聞』(夕刊紙)1紙のみを購読しているということが不自然と思えるの
です。趣味で購読している、ということは考えられますが…。
急死した中澤・前衆議院議員の第一報が掲載されています。中澤・前
議員がいくら帯広市出身だからといって、記事の掲載紙が帯広の夕刊
地方紙でなくてもいいと思います。
出身地の地元紙である『十勝毎日新聞』を紹介するのは問題ないので
す。札幌出身の人が札幌で購読するのには、フィクションでも無理が
あるようです。
著者:柴田 哲孝(しばた てつたか)
発行:2012年11月19日 第1刷
<誤植というより校正ミス? 意図的なミス?>
◎14ページ 11行目◎
誤「…程度のいいものなら五〇〇万円を越える。」
正「…程度のいいものなら五〇〇万円を超える。」
「一定の分量・限界を過ぎて先に行く」という意で[超]に。
(新聞用字用語集から)
95ページの「時速五〇キロを越えると…」なども[超]に。180ページ
では「体重五〇〇キロを超す大型の猛獣」と正しく使っています。
◎18ページ 9行目◎
誤「停年真際(ルビ=まぎわ)の初老の男が二人と…」
正「定年間際の初老の男が二人と…」
間違いとは言えないのですが…。
まず[停年]。戦前の辞典などは[定年]と[停年]を並列または許容す
る形で掲げていますが、昭和20年代後半(1954年)になって法令用語
は[定年]に統一されることになり、これをきっかけに一般に[停年]
より[定年]が広く使われるようになったようです。
ワープロソフト文字変換でも「定年=一般的、定年で退職する」、
「停年=大学・自衛隊、停年で退官する」と説明しています。
同じように[真際][間際]併記から[間際]に統一されてきています。
(新聞用字用語集)
◎20ページ 2行目◎
誤「退職金は停年まで勤務した場合と同じ満額が保障される。」
正「退職金は定年まで勤務した場合と同じ満額が保証される。」
「権利・自由・安全を守る」意の[保障]ではなく、「請け負う」意の
[保証]ではないかと思うのですが、どうでしょう。
◎23ページ 10行目◎
誤「…会長だか何だか黒幕の名前も上がっていたし…」
正「…会長だか何だか黒幕の名前も挙がっていたし…」
「名を上げる=有名になる」と捉えられかねません。「はっきり分
かるように示す」という意で[挙]に。
◎30ページ 12行目◎
誤「秋の穏やかな陽光に光る豊平川を見ると…」
正「秋の穏やかな陽光にきらめく豊平川を見ると…」
「陽光に光る」は[光]の重複表現とも思われます。
57ページの「壇上に上がった」も重複表現と言えるでしょう。
「登壇した」「演壇に上がった」「壇上に立った」などの表現が
ありますので、[上]を重ねなくともいいのでは。
◎30ページ 18行目◎
誤「…三階まで階段を駆け登った。」
正「…三階まで階段を駆け上った(駆け上がった)。」
「上り口」は[階段]、「登り口」は[山]。
また、階段は「駆けのぼる」より「駆けあがる(駆け上がる)」が
一般的ではないでしょうか。
◎33ページ 14行目◎
誤「すすきの交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」
正「ススキノ交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」
これも間違いとは断言できませんが…。
平仮名「すすきの」は地下鉄の駅名で、行政上の地名としては存在
しません。カタカナ「ススキノ」は歓楽街として使う場合。漢字の
「薄野」は地域の総称で、交番は「薄野交番」。(新聞用字用語集
から)
145ページにある「すすきのに近いチェーンのホテルにチェックイン
した。」も「ススキノに近い―」に。
◎35ページ 16行目ほか◎
誤「…札幌まで飲みに出てくるのは珍らしい。」
正「…札幌まで飲みに出てくるのは珍しい。」
送り仮名には作者のこだわりがあるのかもしれません。しかし、一
般的には「しい」を送って「珍しい」でしょう。
「送り仮名の付け方改正告示」から―
本則活用のある語は活用語尾を送る。
語幹が「し」で終わる形容詞は「し」から送る。(シク活用)
{例}著しい 惜しい 悔しい 恋しい 珍しい
◎40ページ 9行目◎
誤「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに当てた。」
正「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに充てた。」
◎41ページ 5行目◎
誤「沖縄本島は、かねてから中国政府が領有権を主張する…」
正「沖縄本島は、かねて中国政府が領有権を主張する…」
「かねてから」は重複表現(新聞用字用語集の説明)。
「予ねて(かねて)」というに言葉には「以前から。前から。前
もって」という意味があります。文字ではなく意味の重複で、「以
前からから」になってしまいます。
言い換えるなら「かねてより」でしょうか。
◎57ページ 4行目◎
誤「…今夜は、まず祝杯を上げよう」
正「…今夜は、まず祝杯を挙げよう」
◎85ページ 11行目ほか◎
誤「…根拠のない風評が一人歩きをはじめ…」
正「…根拠のない風評が独り歩きをはじめ…」
89ページにある「独り言」と漢字の用法は同じ。
◎87ページ 11行目ほか◎
誤「…という会社を御存知でしたか。」
正「…という会社を御(ご)存じでしたか。」
◎112ページ 7行目◎
誤「…積極的な誘致活動が押し進められてきた。」
正「…積極的な誘致活動が推し進められてきた。」
114ページでは「軍拡を推し進め」と正しく使っています。
◎122ページ 1行目◎
誤「第一回目は名古屋、二回目は新潟…」
正「一回目は名古屋、二回目は新潟…」
接頭語の[第]と接尾語の[目]が同時に付くことはないと思います。
「第一回」か「一回目」。
◎340ページ 15行目◎
誤「…二つの命令系統の意志が一致しなくては…」
正「…二つの命令系統の意思が一致しなくては…」
微妙な表現です。
「成し遂げようとする心」の[意志]ではなく、「考えや思い」の[意
思]になるのでは。
※このほか、細かくなりますが、「関って」「係わって」の混在な
ど、校正上の問題と考えざるを得ない表記が多くありました。
興味深い内容の小説だけに残念です。
<追加>
◎30ページ 10行目◎
誤「…豊平川の清流が蕩々(ルビ=とうとう)と流れている。」
正「…豊平川の清流が滔々(ルビ=とうとう)と流れている。」
同じ読みでも[蕩蕩]と[滔滔]では意味が違います。辞典にもよりますが
[蕩蕩]は「広く大きなさま」「広々としておだやかなさま」。
[滔滔]は「水のさかんに流れるさま」「弁舌のよどみないさま」「強い
勢いである方向にむかうさま」。
といったニュアンスの説明が多いはず。
例として挙げているのは「蕩々たる大河」「滔々と流れる大河」。
同じく河を修飾するのですが、河幅に注目するか流量に注目するか、目
線の違いがあるようです。
◎204ページ 1行目ほか◎
誤「…厚間は由紀子と運転を替わった。」
正「…厚間は由紀子と運転を代わった。」
「前の物事をやめて別の物事をする、新しいものにする」との意の[替]
ではなく、「代理、代表、交代」の意の[代]に。(新聞用字用語集)
219ページの「“あちらさん”の“社長”が替わるまでは…」も[代]。
反対に、216ページの「…西側を中国が支配し、代わりに東側を米国に与
えるという…」は、[替え地][入れ替え]の意味があることから[代]では
なく[替]になるのではないでしょうか。
※余談ですが、気になることをもう一点。
30ページ。登場人物の厚間がランニングを終え札幌市豊平区・中の島
にあるマンションに帰ってきます。階下の郵便受けから朝刊一紙を取
り出し、部屋に入って開くのが『十勝毎日新聞』なのです。
『十勝毎日新聞(通称:勝毎・かちまい)』は、北海道帯広市に本社を
置く十勝毎日新聞社が、帯広・十勝管内に向けて発行している実在の
夕刊紙で発行部数は88,684部(2009年9月現在:日本ABC協会調べ)。
札幌市生まれの厚間が、全国紙や北海道でシェア7割の『北海道新聞
(通称:道新・どうしん)』の朝刊ではなく、地方紙の『十勝毎日新
聞』(夕刊紙)1紙のみを購読しているということが不自然と思えるの
です。趣味で購読している、ということは考えられますが…。
急死した中澤・前衆議院議員の第一報が掲載されています。中澤・前
議員がいくら帯広市出身だからといって、記事の掲載紙が帯広の夕刊
地方紙でなくてもいいと思います。
出身地の地元紙である『十勝毎日新聞』を紹介するのは問題ないので
す。札幌出身の人が札幌で購読するのには、フィクションでも無理が
あるようです。
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