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流れ星の冬

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/12/29 2:08 | 最終変更
nande3  一人前   投稿数: 128
ISBN:4-575-50657-5
著者:大沢 在昌(おおさわ ありまさ)
発行:2007年12月30日 第17刷発行(双葉文庫)

1994年に双葉社が刊行、1998年9月15日に文庫化第1刷発行。
版を重ね、年を経た第17刷を読む。

大沢在昌が『新宿鮫 無限人形』で直木賞を受賞した年の作品。

<誤植というより校正ミス? 意図的なミス?>

◎94ページ 8行目◎
誤「…半年ぶりに会った始めだけは、志木とこれから対決でもしな
  くてはならないような緊張感が漂う。」
正「…半年ぶりに会った初めだけは、志木とこれから対決でもしな
  くてはならないような緊張感が漂う。」

 同ページ12行目に「初めて会ってから四十年以上の時間が流れ
 た…」、117ページの8行目には「初めのうちはしかたがない」と
 いう文章があります。

 [最初]の意味で使っていますので「初めだけは」。

◎122ページ 12行目◎
誤「ボディシャンプーがあるのに、石鹸をとり…」
正「ボディーシャンプーがあるのに、石鹸をとり…」

 間違いとは言えないのですが、最近の流行なのでしょうか、長音
 を省いて言葉を短くする傾向があるようです。違和感があります
 ね。

 「パーティ」「パーソナリティ」「バリュ」などなど。

 多くのカタカナ語辞典、新聞用字用語集の「外来語用例集」では
 「パーティー」「パーソナリティー」「バリュー」「ボディー」です。

 155ページ15行目には「紅茶のガラスポットとティカップが前に
 おかれていた。」という文章もあります。

 その2行後には「デザイナーのような専門的な仕事を…」と使っ
 ていますので、やはり「ティーカップ」でしょう。

◎122ページ 15行目ほか◎
誤「支度をしていた部屋係りがいった。」
正「支度をしていた部屋係が言った。」

 これも間違いではないのでしょうが、「特定の仕事・役目を受け
 持つこと。また、その人」の意味で、「受付-」 「会計-」の
 ように名詞の下に付くときは、多く「がかり」の形になり、
 「係」と書くのが一般的解釈と思います。
 
 「係(り)結び」「係(り)助詞」ならいいのですが、「課長」
 と「係り長」の例はないのでは。

◎123ページ 9行目◎
誤「…失望とそして不信の混じった気持を…」
正「…失望とそして不信の交じった気持ちを…」

 「絵の具を混ぜる」ように「とけ合うまじり方」ではなく、「と
 け合わない、区別のつくまじり方」なので「交じった」かと。

◎128ページ 9行目ほか◎
誤「…太え女だぜ。皆んなにいい顔して、お手当てをとってやがっ
  た」
正「…太え女だぜ。みんなにいい顔して、お手当をとってやがっ
  た」

 「皆(みんな)」は「皆(みな)」の撥音添加なので「皆んな」
 のように「ん」は送らないようです。

 また、表外音訓なので新聞社などは平仮名書き「みんな」に統一
 しているようです。

 [手当て]は「治療や対策」の意味で、[手当]は「金銭に関す
 ること」で、使い分けています。

◎151ページ 16行目ほか◎
誤「…父のことを先生は御存知かもしれないと思って」
正「…父のことを先生はご存じかもしれないと思って」

 153ページでは「…父が先生を存じあげていたかは…」と使い、
 166ページなどに「ご心配をおかけしたのでは…」、192ページで
 は「ご存知」との表記があります。256ページには「ご存知」と
 「御存知」が出てきます。

 敬意を表す接頭語が[御]と[ご]で混在しています。平仮名の
 [ご]に統一。

 [ごぞんじ]をワープロソフトで変換すると[ご存知]が最初に
 示されるからでしょうか、「ご存知の…」「ご存知ですか」
 などの表現を多く目にします。

 [存知](ぞんち=知っていること、承知していること)ではなく
 [存じ](ぞんじ=知っていること、承知)の尊敬語で、[ご]を
 付けています。

 「知っている」「覚える」「考える」「思う」の謙譲語で[存ず
 る]。

◎165ページ 14行目◎
誤「思いもよらない、暖かな気分になっていた。」
正「思いもよらない、温かな気分になっていた。」

 気象や気温に使う「寒の対語」ではなく、一般用語で「冷の対
 語」の「温かい」になります。

◎205ページ 1行目◎
誤「…観葉樹のみずみずしい葉を見つめた。」
正「…観葉植物のみずみずしい葉を見つめた。」

 分からなくはありませんが、「観葉植物」が一般的ではないで
 しょうか。

◎222ページ 7行目◎
誤「…を博打うちだと思いこんでいたようだ。」
正「…を博打打ちだと思いこんでいたようだ。」

 これも間違いではないのですが、漢字[打]を使った熟語なので
 「博打(ばくち)打ち」か「博徒」がいいような気がします。
 表外音訓を嫌うなら「ばくち打ち」に。

◎236ページ 8行目◎
誤「…俺たちのことをサツに指(ルビ=さ)すといってたからな」
正「…俺たちのことをサツに刺すといってたからな」

 これも間違いではありません。ですが…。
 辞典によって見解は異なりますが、[指す][差す][刺す]には、そ
 れぞれに「密告する」という意味があるようです。

 仲間が仲間を「サツ(警察)に密告する」のですから、[刺す]の
 字がふさわしいように感じます。

◎270ページ 8行目◎
誤「あなたが場所をご存知ないなら、昔のお仲間がどなたかご存知
  の筈だ。」
正「あなたが場所をご存じないなら、昔のお仲間のどなたかがご存
  じの筈だ。」

 さっと読んで? 二度読んで?? 何か違うような気が…。

 ぱっと読むと、「仲間が誰かのことを知っている」とも読み取り
 かねません。

 「あなたが場所をご存じないなら、昔のお仲間がご存じの筈
 だ。」

 でも意味は通じるような…。

※第17刷の文庫本です。初版から何人もの目が通り、校正も行われ
 てきたはずですが、細かく見ていくと気になる箇所がたくさんあ
 りました。
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