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エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希
誤植報告
ISBN:978-4-8002-0579-7 著者:吉川 英梨(よしかわ えり) 発行:2013年1月24日 第1刷(宝島社文庫) <誤植というより校正ミス? 意図的なミス?> ※テレビドラマ化された人気の「ハラマキ」シリーズ第四弾 ◎7ページ 4行目◎ 誤「…私の心臓が勝手に鼓動を早くした。」 正「…私の心臓が勝手に鼓動を速くした。」 「いち早く」「出発を早める」といった時間関係の[早い]では なく、「決断が速い」「呼吸が速い」「テンポが速い」と同じ 速度関係の[速い]ですね。 ◎7ページ 10行目◎ 誤「締め切ったブラインドの向こう側には…」 正「閉め切ったブラインドの向こう側には…」 「しめつける」「しめくくる」の意味の[締]は、「原稿を締め 切る」「締め切り日「戸締りをする」など。 [開]の対語の[閉]は、「窓を閉める」「店を閉める」「カーテン を閉め切る」。 ◎14ページ 14行目◎ 誤「回線スタートは今日の午前十二時。」 正「回線スタートは今日の正午。」 昼間の話です。夜中のことだとしても…。 昼の十二時ちょうどは「正午」、夜の十二時ちょうどは「午前 零時」とする。「正午」は「午後零時」とはしない。期限を表す 場合は、例外として「午後六時から午後十二時まで」のように 「十二時」を使ってよい。――新聞社の日時の書き方から 48ページには「…研修のあった日の正午に連絡があって…」の 文章があります。また、203ページには「深夜零時前後」と。 ◎43ページ 9行目◎ 誤「まず、あなた宛てに…指示が書かれた文書が届いたとか。」 正「まず、あなた宛に…指示が書かれた文書が届いたとか。」 このシリーズを通して、宛名・名宛の使い方で「あなた宛てに」 と[て]を送る表記です。動詞のように「~に宛てて手紙を書く」 のではなく、宛名や住所を示す宛先の[宛」(接尾語)なのです が。 こうも続くと、[宛て]が正しいのかなと思ってしまい、ネットで 調べてみました。 まぎらわしい解説がありました。三省堂『大辞林』の次のような 解説です。 ―――― あて【当て・宛て】 一 ( 名 ) ①めあて。目的。 「 -もなくさまよう」 ②みこみ。めあて。 「解決の-がある」 「金策の-がつく」 「捜索の-がない」 ③たより。期待。 「親の財産を-にする」 「 -がはずれる」 「 -にならない男」 ④他の語と複合して用いられる。 ㋐体・衣類などを保護し補強するため,あてるもの。 「肩-」 「ひじ-」 ㋑うちつけること。 「 -身」 「鞘(さや)-」 ⑤〔近畿地方で〕 酒のつまみ。 二 ( 接尾 ) ①数量を表す名詞に付いて,…あたり,…について,の意を表 す。 「ひとり-三つずつ」 ②人・団体や場所などを表す名詞に付いて,送り先・届け先など を表す。 《宛》 「返事は私-にください」 「会社-」 ―――― 一見、[宛て]と書くのが正しいような気になってしまいますが、 接尾語で送り先などを表すのは≪宛≫とあります。 この解説では、[当て]と[宛]を同じように扱うと、誤解されるの ではありませんか。 広辞苑や旺文社の国語辞典、新聞社の表記は[宛]です。(発行 年で違うかもしれません) ◎45ページ 13行目◎ 誤「…事件の指揮を取っている…」 正「…事件の指揮を執っている…」 「執り行う・扱う」ということで「式を執り行う」「指揮を 執る」「事務を執る」「筆を執る」。 ◎47ページ 2行目◎ 誤「…デスクの下に隠れるように…慌てて立ち上がろうとして デスクの天井にガツンと頭をぶつけると…」 正「…デスクの下に隠れるように…慌てて立ち上がろうとして デスクの裏板(引き出しの底)にガツンと頭をぶつけると…」 難しい表現です。事務用デスクに[天板]はあっても[天井]は ないと思います。[天板]の裏面[裏板?]か、はたまた[引き出 し」付きなら、[引き出しの底]か。 ◎48ページ 17行目◎ 誤「…単独で追っていてかっこいい! って。」 正「…単独で追っていてかっこいい!って。」 細かいのですが、エクスクラメーション・マーク、感嘆符[!] の使い方です。(クエスチョン・マーク=?も同じ) 読点[ 、]のように使うときは1字分の空白を入れず(読点に 置き換えられる)、句点[ 。]の意味で使うときは1字あける のが一般的かと。(新聞記事の書き方の基本から) 文末(句点の使い方と同じ)が[?][!]の符号で終わるときは 句点を付けず、その後一字あける。単語に係る[?][!]の後は 一字あけない。 「こんな名案?にはお目にかかったことがない。」 「なぜ?と疑問に思う。」 49ページ6行目の使い方「それ、その名ゼリフ! 一度言われて みたかったんす! はい」はOK。 ◎57ページ 12行目◎ 誤「…窓から突入するという作戦を取るようだった。」 正「…窓から突入するという作戦を採るようだった。」 「その説を採る」と同じように[採用]という意味で[採る」が いいかもしれません。 ◎69ページ 14行目ほか◎ 誤「運転免許証や保険証の類いも、何も持っていなかった。」 正「運転免許証や保険証の類も、何も持っていなかった。」 [類い]も、このシリーズでずっと使っています。 音読みの[ルイ]、訓読みの[たぐい]とも[類」とする辞典やワー プロソフトが多いのですが(新聞記事も)、小学館のデジタル版 『大辞泉』や三省堂の『大辞林』では[たぐい 類い/▽比い]と なっていました。 こうなると、間違いとは言えません。好みの問題かも。 ◎87ページ 2行目◎ 誤「本当に。たしか主人公のエリカがぶら下げている…」 正「本当に。確か主人公のエリカがぶら下げている…」 間違いではないのですが、93ページには【私は「確かに」と うなずいてみせた。】という文章があります。 形容動詞[たしかに(確信のある表現)]と副詞[たしか(確信 のあまりない表現)]を、平仮名書きと漢字書きで区別している のでしょうか? 辞典には、どちらも漢字書きで示されています(たぶん)。 統一したほうがいいかな? ◎89ページ 14行目◎ 誤「…デスクの上には様々な医療書が山積みになっていて…」 正「…デスクの上には様々な医学書が山積みになっていて…」 [医療書]は一般的な言葉ではないと思います。[歯科医療書籍] などの言葉はネット検索で出てきましたが、[医療書]は? [医学書]では、難しい内容が書いてあるような感じですので、 「さまざまな医療関係の書籍」などの表現がいいのかも。 ◎101ページ 14行目ほか◎ 誤「よくご存知で!」 正「よくご存じで!」 [ごぞんじ]をワープロソフトで変換すると[ご存知]が最初に 示されるからでしょうか、「ご存知の…」「ご存知ですか」 などの表現を多く目にします。 [存知](ぞんち=知っていること、承知していること)ではなく [存じ](ぞんじ=知っていること、承知)の尊敬語で、[ご]を 付けています。 「知っている」「覚える」「考える」「思う」の謙譲語で[存ず る]。 82ページでは「ご存じかしら?」と正しく使っています。 ◎104ページ 14行目◎ 誤「…嫁さんをすすきののソープに売り飛ばされてから…」 正「…嫁さんをススキノのソープに売り飛ばされてから…」 間違いではありませんが… ①ススキノ:歓楽街として使う場合。「札幌・ススキノ」 ②薄野:地域の総称。交番は[薄野交番] ③すすきの:地下鉄の駅名 ◎107ページ 2行目◎ 誤「…卑猥な言葉がスプレー缶のペンキで落書きされていた。」 正「…卑猥な言葉がペンキスプレー(缶)で落書きされていた。」 「…卑猥な言葉がスプレー塗料で落書きされていた。」 「ペンキスプレー」「ペイントスプレー」「スプレー塗料」が 一般的かと。 圧縮した空気や高圧ガスを用いて液体を霧、泡などの状態で噴霧 する装置=スプレーで書いた[落書き]ということが主体。 ラッカースプレー、アクリルスプレー、ウレタン塗装などがあり ますので「ペンキ」に限定しないほうがいいと思います。 ◎114ページ 13行目◎ 誤「…かっこうのいじめのターゲットになってしまったんです」 正「…格好のいじめのターゲットになってしまったんです」 間違いではありませんが、48ページに「かっこいい!」、50ペー ジに「…リクルーターの格好などが…」、115ページに「かっこ つけて」とあります。 省略形の「かっこ(う)」を平仮名にするのはいいとして、 名詞、形容動詞の[かっこう]は漢字[格好]で統一したほうが いいでしょう。 ◎128ページ 10行目◎ 誤「官舎は環状八号線沿いから一本道路を入った…」 正「官舎は環状八号から一本道路を入った…」 ◎141ページ 1行目◎ 誤「…根拠についてお話したいと思います」 正「…根拠についてお話ししたいと思います」 紛らわしい表現です。「お話(を)したい」は、話される内容 を示し、名詞として使う形。「(お)話をする」「(お)話に ならない」。 「話し」は行為を示す動詞の[話す]の形。「お話しになる」 (=尊敬表現)「お話しする」(=謙譲表現)「話し合い」 「話し込む」。 この行は、「話すという行為」をしたい、動詞として使う 謙譲表現ですので「お話ししたい」になるはず。 ◎153ページ 7行目◎ 誤「(アクセサリーや小物を示す)手作りの工程の写真がついて いたり、制作者がどう工夫して作ったかなど…」 正「(アクセサリーや小物を示す)手作りの工程の写真がついて いたり、製作者がどう工夫して作ったかなど…」 これも微妙ですが、主として芸術的・ソフト的なものに使う [絵画や美術作品、映画など芸術作品の制作]ではなく、主とし て具体的・実用的な物品をつくる意で[機械の製作][机の製作] に近いと思います。 ◎191ページ 10行目◎ 誤「…『エリカ』を鑑賞していたようで…」 正「…『エリカ』を観賞していたようで…」 これまた微妙な使い方。DVDのドラマ『エリカ』ですので、 芸術作品などを味わい理解する「絵画の鑑賞」や「能楽鑑賞」 「レコード鑑賞」ではなく、見て楽しむ「映画観賞(鑑賞と も)」「花の観賞」に近いでしょう。 ◎199ページ 4行目◎ 誤「私はダッシュボードからサイレンを出して電源を入れると、 屋根の上に載せた。」 正「私はダッシュボードから回転灯(パトライト)を出して電源 を入れると、屋根の上に載せた。」 シリーズ第三弾の前作では 「…乗用車の上にサイレンをのせた。赤いランプが点滅し…」 「車のルーフにサイレンを乗せて」という表現があり、[サイ レン]と[乗せる]を指摘しました。 第四弾では[乗せる]→[載せる]となりましたが、[サイレン]は そのままです。 覆面パトカーの装備でいえば、[回転灯]を点け[サイレン]を 鳴らすということになると思います。 固定ではなく移動式の[回転灯]を車のルーフ(屋根)にマグ ネットなどで設置します。サイレンのアンプは車内にあるはず。 一般的に[パトカーランプ][パトランプ][流線型回転灯]。 ◎225ページ 1行目◎ 誤「お手柄あげたんですってね。お疲れ様」 正「お手柄立てたんですってね。お疲れ様」 [手柄]は「立てる」ものでしょう。[あげる]と書くなら[上げ る」ではなく[挙げる]。 ◎233ページ 9行目◎ 誤「…発表のタイミングを図っているだけ」 正「…発表のタイミングを計っているだけ」 「便宜を図る」のではなく、計算・計画する意味で「タイミング を計る」。 ◎250ページ 7行目◎ 誤「なかからはキューブ型のアタッシュケースが出てきた。」 正「なかからはキューブ型のケースが出てきた。」 「厚さ5センチメートルほどで、書類を入れる箱型のビジネス マン用手提げカバン」がアタッシュケースとの説明がありま した。薄型のカバンという印象があります。 キューブ=立方形なら、単に[ケース]がふさわしいと思います。
報告者:nande3