生存者ゼロ
誤植報告
ISBN:978-4-8002-0500-1 著者:安生 正(あんじょう ただし) 発行:2013年1月24日 第1刷 <誤植というより校正ミス? 意図的なミス?> ※2013年 第11回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 ◎8ページ 15行目◎ 誤「…火の起こし方を学ばせた。」 正「…火の熾し方を学ばせた。」 「生じる、掘る、立つ、始める」という意なら[起]、火ですの で漢字で書くなら常用外ですが[熾]。 ◎8ページ 15行目◎ 誤「少し遠出して虫取り網を握れば…」 正「少し遠出して虫捕り網を握れば…」 一般用語の「虫を取る」のではなく、虫を「追いかけていって 捕らえる」のですから「虫捕り網」に。「捕虫網」という言葉も あります。 ◎16ページ 4行目◎ 誤「六十五ノットの強風が洋上で猛り…」 正「(風速)三十三メートルの強風が洋上で猛り…」 間違いではありません。しかし、「ノット」は、一般的には船舶 や航空機の速度を表す単位として知られていますので…。 気象庁などで通常使われる[風速]の単位はm/s(いわゆる秒 速)。国際的にはノット (kt) が用いられるとはいえ、馴染まな いような気がします。 ◎16ページ 12行目◎ 誤「ヘリ格納庫から牽引ワイヤーに牽かれた…」 正「ヘリ格納庫から牽引ワイヤに牽かれた…」 カタカナ語表記は難しいですね。作者の思い入れもあるでしょう し。 「針金、電線・電信線、楽器の金属弦」あるいは「ワイヤ-ロー プの略」であるなら、多くの国語辞典、カタカナ語辞典で [ワイヤ]となっています。 「音引き」「長音」の記号「ー」が曲者で、最近は省略して 言葉を短くする傾向がありますが、[ワイヤ]は逆パターンの ようです。 同じページに「ー」の取れた「ボディ」が出てきます。こちらは 「ボディー」が一般的表記になります。 41ページの「セキュリティ(ー)カード」なども。 ◎23ページ 19行目◎ 誤「…命令に、はっ、と全員が背筋を伸ばした敬礼で答えた。」 正「…命令に、はっ、と全員が背筋を伸ばした敬礼で応えた。」 難しい表現です。「返答」の意味ではなく、「働き掛けに報い る、応じる」という意味になるとしたら[応]でしょうか。 ◎36ページ 9行目◎ 誤「その拍子に、机の上からの写真立てが床に落ちた。」 正「その拍子に、机の上から写真立てが床に落ちた。」 単純に「の」は不要? ◎39ページ 11行目◎ 誤「言葉使いとは裏腹に…」 正「言葉遣いとは裏腹に…」 一般用語で主に動詞につく[使]ではなく、名詞につく特別用語 の[遣]を使って、「言葉の使い方」を意味する名詞[言葉遣 い]に。 ◎39ページ 15行目◎ 誤「…安物の整髪剤の匂いが鼻をついた。」 正「…安物の整髪料の匂いが鼻をついた。」 コスメ業界では「整髪料」が一般的なようです。 ウィキペディアには「整髪料(せいはつりょう、Hair styling products)とは、髪型を整えたり固定したりする目的で、頭髪に 塗布するものをいう。ヘアースタイリング剤とも。」とあり。 ◎40ページ 10行目ほか◎ 誤「学園西大通りから十九号線を走るパトカーは…」 正「学園西大通りから国道十九号を走るパトカーは…」 一般的に「○○号線」と呼称されていますが、道路法に基づく 国道などの表記は、道路番号・路線番号のみが正式。「国道19 号」となります。新聞用字用語集にもその旨が書かれています。 176ページでは、「国道二七四号線」と「国道二七四号」が混在 しています。 また、漢数字の書き方で「十九」「二七四」など単位を入れるか 入れないか、統一の問題もあります。「十九号」→「一九号」 (百の位から単位省略形?)。 さらに、通りの名称です。「学園西大通り」か「学園西大通」 か。調べてはいませんが、正式な名称のほうがよろしいかと。 ちなみに、札幌市では「り」を送らず「○○通」です。 ◎48ページ 10行目◎ 誤「とりあえず、一度、研究所まで同行願います。」 正「取りあ(敢)えず、一度、研究所まで同行願います。」 新聞漢字表にない音・訓ですので、平仮名表記が適切なので しょうが、バラバラの表記で出てきます。校正の問題です。 50ページに「取る物も取りあえず」、122ページでは「取り敢え ず」になっています。 ◎48ページ 18行目◎ 誤「博士もよくご存知の…」 正「博士もよくご存じの…」 228ページでは正しく「ご存じ」と使っています。 ◎56ページ 15行目◎ 誤「…いっさい説明がない。」 正「…一切説明がない。」 次ページ57ページに「一切感じさせない」、127ページに「一切 合切」とあります。 ◎57ページ 16行目◎ 誤「これは~の滞留期間を超えてはいないが…」 正「これは~の滞留期間を越えてはいないが…」 ◎85ページ 17行目◎ 誤「…併行して~聴聞会が始まろうとしていた。」 正「…並行して~聴聞会が始まろうとしていた。」 間違いではないのですが…一般的には[並行]でしょうか。 ◎92ページ 7行目◎ 誤「夜になれば満点の星と輝く月の光が…」 正「夜になれば満天の星と輝く月の光が…」 ◎92ページ 10行目◎ 誤「…水蒸気が立ち篭める。」 正「…水蒸気が立ち籠める(立ち込める)。」 間違いではないのですが、常用外漢字ということで。 ◎98ページ 2行目◎ 誤「…パイロットの右肩が競り上がる。」 正「…パイロットの右肩がせり上がる。」 競争して値段をしだいにあげていく、のではなく「下からしだい に押し上げる、だんだんと大きくする」意味なので、漢字で書く なら「迫り上がる」か平仮名で「せり上がる」(舞台・舞台装置 の「せり」「せり出し」と同じ)。 ◎98ページ 2行目◎ 誤「…かけ声とともに…」 正「…掛け声とともに…」 これも間違いではありませんが、同じページに「差し掛かる」と ありますので。 ◎100ページ 13行目◎ 誤「…屋根瓦のほとんどが滑り落ちて…」 正「…?のほとんどが滑り落ちて…」 表現の問題です。北海道標津郡標津町川北の情景なのですが、 「瓦葺」の家は、たぶん、無いと思います。北海道では、三角屋 根(近年は無落雪の平らな屋根も)、トタン葺きが一般的です。 「雨樋」も出てきますが、これも北海道の住宅には少ないでしょ う。「家の板囲い」(102ページ)も海辺の古びた町にしか見ら れなくなりました(海からの風を防ぐためのもの)。 ◎108ページ 7行目◎ 誤「…適切な治療と抗菌薬の使用ができる体制を整えつつある。」 正「…適切な治療と抗菌薬の使用ができる態勢を整えつつある。」 ◎108ページ 11行目◎ 誤「…当該新感染症に冒された疑いのある者と…」 正「…当該新感染症に侵された疑いのある者と…」 ◎129ページ 18行目◎ 誤「…鞄から身分証明署と命令書を差し出した。」 正「…鞄から身分証明書と命令書を差し出した。」 ◎131ページ 14行目◎ 誤「…二人とも時宣(ルビ=じぎ)をわきまえろ。」 正「…二人とも時宜(ルビ=じぎ)をわきまえろ。」 ルビを振っているのに、[宜]が[宣]となる見た目が似ている 漢字の間違いパターン。 ◎137ページ 9行目◎ 誤「野外演習での光波による模擬銃撃線など子供のお遊びだ。」 正「野外演習での光波による模擬銃撃戦など子供のお遊びだ。」 ◎137ページ 17行目◎ 誤「…化学的鑑定といった類いの調査はできない。」 正「…化学的鑑定といった類の調査はできない。」 「るい」も「たぐい」も、漢字なら[類]かと。 ◎147ページ 1行目ほか◎ 誤「夜間訓練で放たれた曳航弾…」 正「夜間訓練で放たれた曳光弾…」 曳光弾(えいこうだん、英: Tracer ammunition)は、射撃後、 飛んでいく間に発光することで軌跡がわかるようになっている 弾丸のことである。(ウイキペディアから) ◎180ページ 17行目◎ 誤「負傷者を手当しろ」 正「負傷者を手当てしろ」 ◎181ページ 17行目◎ 誤「テーブル上のエンカンには~吸殻が…」 正「テーブル上のエンカン(煙缶)には~吸殻が…」 急に出てきた「エンカン」。吸殻が出てくるのでタバコの関係 だと想像できますが…自衛隊用語(隠語)らしいです。灰皿の ことみたいですね。間違いではないのですが、難しい。 ◎209ページ 3行目◎ 誤「…北の国で起こっていることに…」 正「…北国で起こっていることに…」 間違いではないのでしょうが、違和感があります。 ◎209ページ 11行目◎ 誤「右手を挙げて運転手に礼を伝えた…」 正「右手を上げて運転手に礼を伝えた…」 ほかのページにも「右手を挙げて」が出てきます。 このページは、「ありがとう」と言葉に出さないで、手を顔の 高さくらいに上げた「サンキューポーズ」なので「上げて」に なると思います。(「手を上げて伸びをする」と同じ使い方) ほかのページは、「挙手」の意味で「手を挙げて」います。 ◎210ページ 3行目◎ 誤「…階段を登ろうとした。」 正「…階段を上ろうとした。」 ◎243ページ 11行目◎ 誤「ロッカールームへ通じるドアの手間に膝をついた…」 正「ロッカールームへ通じるドアの手前?に膝をついた…」 「ドアの手間」の意味が分かりません。[手間]は、「骨折り、 めんどう、煩雑な手段、労力、時間などを必要とすること。ま た、その労力など」のことだと思うのですが、これでは意味を なさないような…。 ◎287ページ 7行目◎ 誤「元々、私は一人ぼっちです」 正「元々、私は独りぼっちです」 ◎310ページ 8行目ほか◎ 誤「私たちはここを引き上げます。」 正「私たちはここを引き揚げます。」 ◎332ページ 16行目◎ 誤「…この任務にあたることを命じられた…」 正「…この任務に当たることを命じられた…」 「あたる」「当たる」「あてる」「当てる」が混在しています。 統一を。 ◎奥付の著者略歴◎ 誤「京都大学大学院工学研究科卒」 正「京都大学大学院工学研究科修了」 大学院でしたら「卒業」ではなく「修了」かと。 ※面白く読みました。が、気になる箇所が多々。重版や文庫化の際 に正しく表記されることを望みます。
報告者:nande3