主よ、永遠の休息を
誤植報告
ISBN:978-4-408-55097-8 著者:誉田 哲也 (ほんだ てつや) 発行:2012年10月15日 初版第1刷(実業之日本社文庫) 著者の看板作品となった『ストロベリーナイト』から始まる 「姫川玲子シリーズ」の原点といわれています。 女児誘拐殺人事件を扱った小説。 <誤植というより校正ミス? 意図?> ◎29ページ 14行目◎ 誤「…よく夕飯でもどう? って訊いてくれるんだけど…」 正「…よく夕飯でもどう?って訊いてくれるんだけど…」 疑問符[?]の用法です。 「新聞用字用語集」の「書き方の基本」ページに「文末が[?] [!]で終わるときは句点を付けず、その後一字あける」と記され ています。 この用法に倣ったような形態の文章ですが、「これらの符号の次 が『 」』『 )』『 ″』のときは一字あけしない」「単語に係る[?][!] の後は一字あけない」との説明もあります。 「…よく『夕飯でもどう?』って訊いてくれるんだけど…」の 二重かぎ括弧『 』を省略した形にも思えるので、「一字あけ」 は不要ではないでしょうか? 48ページに「なんて、いわれました? ナイフを向けられたと き」という文章があります。こちらの「一字あけ」が正しい使い 方でしょう。 ◎46ページ 9行目◎ 誤「それが案外、精神的に応(ルビ=こた)える。」 正「それが案外、精神的にこたえる。」 間違いではありませんが… 「新聞用字用語集」では、「働き掛けに報いる、応じる」の意の ときは[応える]を用い、「強く感じる意味の『寒さがこたえる、 骨身にこたえる、胸にこたえる』などは平仮名書き」と規定して います。 ◎50ページ 9行目◎ 誤「…相手の迷惑も顧(ルビ=かえり)みず、報道の自由の名…」 正「…相手の迷惑も省みず、報道の自由の名…」 微妙な使い方ですね。 「振り返る」の意の[顧みる]ではなく、「反省」の意味で使うな ら[省みる]のほうでしょうか? ◎106ページ 8行目◎ 誤「せまい店だから、手を上げてちょっといえばオーダーは通る」 正「せまい店だから、手を挙げてちょっといえばオーダーは通る」 ここも微妙。 「誤植.JP」でも再三指摘しておりますように、「手を上げる」 「手を挙げる」の使い分けは難しいと思います。 「新聞用字用語集」の解釈になります。 「下がる、下げるの対語」であり、「ホールドアップ、殴る」な どの一般用語が[手を上げる]。 対して「手を挙げる(挙手)」は「はっきり分かるように示す、 意思表示」の意味。 [上][挙]の書き分けが紛らわしいときは平仮名書き、としていま す。 「紛らわしい」ときは、状況や姿から判断できるのではないかと 考えます。 ポイントは、[手]の位置。「やぁ」「おぅ」「はい」「オス」な ど、ちょっとした[挨拶]を意味するポーズの[手]の位置は、自分 の顔の横かやや下あたり。 この場合は「手を上げる」になるかと。 「タクシーをつかまえたいとき」や「意思を示したいとき」の [手]の位置は、顔より上、頭より高くなると思います。そのとき は「手を挙げる」。「嫌々ながら賛意を示す」ときの[手]の位置 は顔より低くなりますが、意思表示に当たるので「手を挙げる」 になるでしょう。 「オーダーする」「注文する」のですから106ページは頭より手 が高くなるケースで「手を挙げる」になり、43ページの「ああ、 分かった分かった、と係長は手を上げ、奥の方に歩いていってし まった。」の[手]は顔の横くらいと想像でき、「手を上げる」で OKかと。 127ページに「…そのまま手をあげてタクシーを拾った。」、153 ページに「『うん、よろしく』サッと手をあげて店を飛び出す。」、 170ページに「『じゃあ……また』軽く手をあげて、鶴田さんは 私に背を向けた。」と平仮名書きの文章もありました。
報告者:nande3