TENGU てんぐ
誤植報告
ISBN:978-4-396-33413-0 著者:柴田 哲孝(しばた てつたか) 発行:2008年4月15日 第2刷(祥伝社文庫) 第9回大藪春彦賞受賞作。 古本屋で見つけた「古い文庫本」です。面白く読みました。 以下、気になった点です。 <誤植というより校正ミス? 意図?> ◎7ページ 6行目◎ 誤「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き上げるか。」 正「今夜は、待っても無駄だ。そろそろ引き揚げるか。」 ◎13ページ 3行目◎ 誤「…座敷には四人掛けの座卓が三つ並び…」 正「…座敷には四人用の座卓(大人四人が座れる大きさの座卓)が 三つ並び…」 微妙ですが、何か「掛け」ではニュアンスが違うような気がし て…。 テーブルやソファは「○人掛け」という単位で大きさ・サイズを 示すようですが、日本を代表する家具・座卓には使わないと思い います。 座卓は、幅・奥行・高さなどで大きさを示しているかと。 でも、和洋折衷で「座卓テーブル」と表記することもあるし…? ◎13ページ 11行目◎ 誤「女はおしぼりと箸休めを道平の前に置くと…」 正「女はおしぼりと箸置きを道平の前に置くと…」 これも微妙。間違いではありませんが、読み手に疑問を抱かせる 使い方だと思います。 [箸休め]は、本来「日本料理中に見られる料理(おかずや惣菜) の一形態で、食事の途中で気分転換や口の中をさっぱりさせるた めに供されるもの」と押さえたほうがいいと思います。 [箸置き]は、「卓上で箸を受けるための小物。箸が転がり落ちる のを防ぐために用いるもの」と、本来の意味で押さえるべきか。 Wikipediaでは、[箸置き]は、「箸枕、箸休めともいわれる」と 記述していますので、間違いとは言い切れません。 食事の始まりではなく、途中で[箸休め]の小鉢が運ばれてきたら 何と表現するのでしょう? ◎17ページ 5行目◎ 誤「…今年いっぱいで、停年になるみたい」 正「…今年いっぱいで、定年になるみたい」 こちらも間違いとは言えませんが…。 現在の一般的な表記は[定年]。戦前は[停年]が多かったようで す。 昭和20年代後半になって法令用語は「定年」に統一されることに なり、これをきっかけに一般に[停年]より[定年]が広く使われる ようになったようです。新聞や放送関係も[定年]で統一していま す。 あえて意味づけすると、 [定年]=法規・規則により、一定の年齢到達を事由に退官・退職 することになっている年齢。また、退官・退職すること。 [停年]=大学や自衛隊での、定年のこと。 のようです。 ◎49ページ 4行目◎ 誤「…捜査本部前で、第一回目の記者会見が開かれた。」 正「…捜査本部前で、一回目の記者会見が開かれた。」 順序を表すために数字に付ける接頭語の[第]と順序を表す接尾語 の[目]は、同時に用いるものではないと思います。 「第一回記者会見」か「一回目の記者会見」に。 「新聞用字用語集」では、 「第○回目」「第○日目」という使い方はしない。「第○回」 「第○日」または「○回目」「○日目」と書く。 と規定し説明しています。 ◎78ページ 6行目ほか◎ 誤「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存知ですか」 正「…ミトコンドリア・イヴ説というのをご存じですか」 ◎90ページ 3行目◎ 誤「…自然と物語りは一人歩きを始めるだろう。」 正「…自然と物語りは独り歩きを始めるだろう。」 [一人歩き]は一般用語で、「夜道の一人歩きは危険」などと 使います。 [独り歩き]は、「独立、勝手に動く」という意で、「赤ちゃんが 独り歩き、言葉の独り歩き」などと使う、と「新聞用語用字集」 で説明しています。 ◎116ページ 5行目◎ 誤「以後十年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」 正「以後一〇年近くにわたりアメリカはベトナムの泥沼の中で…」 間違いではなく、校正ミスです。 この本は縦書きで、数字は漢数字の位なし表記にしています。 同じページの9行目に「三〇年以上にもわたるベトナム戦争」とい う文章があります。(本書では漢数字の[〇]ではなく記号の[○] 印を使っています) ◎154ページ 5行目◎ 誤「…中からキャビネ版の数枚の写真を抜いて…」 正「…中からキャビネ判の数枚(数葉)の写真を抜いて…」 ◎293ページ 5行目◎ 誤「予想以上の成果を上げた連載だった。」 正「予想以上の成果を挙げた連載だった。」 ◎350ページ 14行目◎ 誤「我々の実験は、初日に第一段階を超えた。」 正「我々の実験は、初日に第一段階を越えた。」 「場所・時間・点を通り過ぎる」���いう意味で[越]。 「数量・基準・限度を上回る」という意味では[超]。 223ページで「…知識の範疇を超えてはいけない。」、351ページ で「…ついに理性の限界を超えた。」と使っていますので、その 流れで[超]になったのでしょうか。 ◎372ページ 6行目◎ 誤「その声は意外なほど穏やかで、暖かく、知性と威厳に…」 正「その声は意外なほど穏やかで、温かく、知性と威厳に…」
報告者:nande3