秋霧の街
誤植報告
ISBN:978-4-396-63385-1 著者:柴田 哲孝(しばた てつたか) 発行:2012年5月20日 初版第1刷 『渇いた夏』『早春の化石』『冬蛾』に続く、私立探偵・神山健介 シリーズの第四弾。 <誤植というより校正ミス? 意図?> ◎5ページ 6行目ほか◎ 誤「深夜の国道一一三号線は、閑散としていた。」 正「深夜の国道一一三号は、閑散としていた。」 一般的には「国道○○号線」と言っていますが、 正しい表記は道 路番号のみ。「○号だけで分かりにくい場合は国道20号(甲州街 道)のように書く」と新聞用字用語集では説明しています。 307ページで「国道一一三号が、見えてきた。」と正しく使っていま すが、311ページでは「…国道113号線で…」(新聞記事を引用する 形で掲載)、325ページでは「…林道から国道四九号線の橋に出 て…」と[線]を付けています。 ◎54ページ 3行目◎ 誤「…捜査線上に名前が上がっていない。」 正「…捜査線上に名前が挙がっていない。」 「名(名前)が上がる」「名を上げる」は「有名になる」という意味 になります。「はっきり分かるように示す、列挙する」という意味 では[挙]を使うようです。(新聞用字用語集から) ◎61ページ 1行目◎ 誤「私だって、麻利子の敵を取りたいし。」 正「私だって、麻利子の仇を取りたいし。」 難しい表現です。間違いとは言えないでしょうが…。 [敵]の読みは「てき、かたき」で、「てき」が先に出てきます。その 意味では、「てきをとりたい」と読んでしまいます。 [敵][仇]も「かたき」です。[仇]は常用外ですので[敵]に統一され ていく傾向がありますが、漢字の意味からすると、[敵]は、「競争相 手」になり、[仇]は「恨みのある相手」。区別して用いたほうがいいと 思っています。 この場面では「仇(かたき)を取りたい」もしくは「仇(あだ)を討 (打)ちたい」のニュアンスではないでしょうか。 ◎68ページ 18行目◎ 誤「…小料理屋の看板の火がぼんやりと浮かんでいる。」 正「…小料理屋の看板の灯がぼんやりと浮かんでいる。」 「火炎」ではなく、「照明」ですので[灯]がよろしいのでしょうが、 69ページに「何軒かの料理屋の小さな火が灯(ルビ=とも)ってい た。」という文章があります。 「何軒かの料理屋の小さな灯(ルビ=ひ)が点(燈、ルビ=とも)っ ていた」。ややこしい。 ◎93ページ 15行目◎ 誤「…マリアという女性は御存知ありませんか」 正「…マリアという女性は御(ご)存じありませんか」 ◎227ページ 4行目◎ 誤「看護婦や担当医は、いまごろ驚いているだろう。…」 正「看護師や担当医は、いまごろ驚いているだろう。…」 著者は「看護婦」という言葉が好きなようです。『悪魔は天使の胸 の中に』(2008年)でも使っています。 日本においては、以前は女性を看護婦、男性を看護士として区別 していましたが、2001年に「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師 助産師看護師法」に改定されたことにより、2002年3月から男女と もに[看護師]という名称に統一されました。 ◎248ページ 14行目◎ 誤「午後〇時四五分…」 正「午後零時四五分…」 間違いではありませんが、誤解を生みます。 ◎296ページ 13行目◎ 誤「…階下から人の足音が駆け登ってきた。」 正「…階下から人の足音が駆け上ってきた。」 298ページの1行目に「階下から人が駆け上がる足音が聞こえてき た。」という文章があります。 「駆け上る」「駆け上がる」とも、「下がる・下げるの対語、下ろす・下 りる・下りの対語」の[上]で。 ◎298ページ 12行目◎ 誤「神山はトカレフを掲げ、両手を頭上に挙げた。」 正「神山はトカレフを掲げ、両手を上げた。」 「ホールドアップ」の意味では「手を上げる」と表記、と新聞用字用 語集は説明しています。
報告者:nande3