トップ > 書籍 > 講談社 > チャイナ・インベイジョン 中国日本侵蝕
チャイナ・インベイジョン 中国日本侵蝕
誤植報告
ISBN:978-4-06-218066-5 著者:柴田 哲孝(しばた てつたか) 発行:2012年11月19日 第1刷 <誤植というより校正ミス? 意図的なミス?> ◎14ページ 11行目◎ 誤「…程度のいいものなら五〇〇万円を越える。」 正「…程度のいいものなら五〇〇万円を超える。」 「一定の分量・限界を過ぎて先に行く」という意で[超]に。 (新聞用字用語集から) 95ページの「時速五〇キロを越えると…」なども[超]に。180ページ では「体重五〇〇キロを超す大型の猛獣」と正しく使っています。 ◎18ページ 9行目◎ 誤「停年真際(ルビ=まぎわ)の初老の男が二人と…」 正「定年間際の初老の男が二人と…」 間違いとは言えないのですが…。 まず[停年]。戦前の辞典などは[定年]と[停年]を並列または許容す る形で掲げていますが、昭和20年代後半(1954年)になって法令用語 は[定年]に統一されることになり、これをきっかけに一般に[停年] より[定年]が広く使われるようになったようです。 ワープロソフト文字変換でも「定年=一般的、定年で退職する」、 「停年=大学・自衛隊、停年で退官する」と説明しています。 同じように[真際][間際]併記から[間際]に統一されてきています。 (新聞用字用語集) ◎20ページ 2行目◎ 誤「退職金は停年まで勤務した場合と同じ満額が保障される。」 正「退職金は定年まで勤務した場合と同じ満額が保証される。」 「権利・自由・安全を守る」意の[保障]ではなく、「請け負う」意の [保証]ではないかと思うのですが、どうでしょう。 ◎23ページ 10行目◎ 誤「…会長だか何だか黒幕の名前も上がっていたし…」 正「…会長だか何だか黒幕の名前も挙がっていたし…」 「名を上げる=有名になる」と捉えられかねません。「はっきり分 かるように示す」という意で[挙]に。 ◎30ページ 12行目◎ 誤「秋の穏やかな陽光に光る豊平川を見ると…」 正「秋の穏やかな陽光にきらめく豊平川を見ると…」 「陽光に光る」は[光]の重複表現とも思われます。 57ページの「壇上に上がった」も重複表現と言えるでしょう。 「登壇した」「演壇に上がった」「壇上に立った」などの表現が ありますので、[上]を重ねなくともいいのでは。 ◎30ページ 18行目◎ 誤「…三階まで階段を駆け登った。」 正「…三階まで階段を駆け上った(駆け上がった)。」 「上り口」は[階段]、「登り口」は[山]。 また、階段は「駆けのぼる」より「駆けあがる(駆け上がる)」が 一般的ではないでしょうか。 ◎33ページ 14行目◎ 誤「すすきの交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」 正「ススキノ交差点を見守る名物のニッカウヰスキーの大看板…」 これも間違いとは断言できませんが…。 平仮名「すすきの」は地下鉄の駅名で、行政上の地名としては存在 しません。カタカナ「ススキノ」は歓楽街として使う場合。漢字の 「薄野」は地域の総称で、交番は「薄野交番」。(新聞用字用語集 から) 145ページにある「すすきのに近いチェーンのホテルにチェックイン した。」も「ススキノに近い―」に。 ◎35ページ 16行目ほか◎ 誤「…札幌まで飲みに出てくるのは珍らしい。」 正「…札幌まで飲みに出てくるのは珍しい。」 送り仮名には作者のこだわりがあるのかもしれません。しかし、一 般的には「しい」を送って「珍しい」でしょう。 「送り仮名の付け方改正告示」から― 本則活用のある語は活用語尾を送る。 語幹が「し」で終わる形容詞は「し」から送る。(シク活用) {例}著しい 惜しい 悔しい 恋しい 珍しい ◎40ページ 9行目◎ 誤「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに当てた。」 正「…残された時間を、中澤の周辺を調べることに充てた。」 ◎41ページ 5行目◎ 誤「沖縄本島は、かねてから中国政府が領有権を主張する…」 正「沖縄本島は、かねて中国政府が領有権を主張する…」 「かねてから」は重複表現(新聞用字用語集の説明)。 「予ねて(かねて)」というに言葉には「以前から。前から。前 もって」という意味があります。文字ではなく意味の重複で、「以 前からから」になってしまいます。 言い換えるなら「かねてより」でしょうか。 ◎57ページ 4行目◎ 誤「…今夜は、まず祝杯を上げよう」 正「…今夜は、まず祝杯を挙げよう」 ◎85ページ 11行目ほか◎ 誤「…根拠のない風評が一人歩きをはじめ…」 正「…根拠のない風評が独り歩きをはじめ…」 89ページにある「独り言」と漢字の用法は同じ。 ◎87ページ 11行目ほか◎ 誤「…という会社を御存知でしたか。」 正「…という会社を御(ご)存じでしたか。」 ◎112ページ 7行目◎ 誤「…積極的な誘致活動が押し進められてきた。」 正「…積極的な誘致活動が推し進められてきた。」 114ページでは「軍拡を推し進め」と正しく使っています。 ◎122ページ 1行目◎ 誤「第一回目は名古屋、二回目は新潟…」 正「一回目は名古屋、二回目は新潟…」 接頭語の[第]と接尾語の[目]が同時に付くことはないと思います。 「第一回」か「一回目」。 ◎340ページ 15行目◎ 誤「…二つの命令系統の意志が一致しなくては…」 正「…二つの命令系統の意思が一致しなくては…」 微妙な表現です。 「成し遂げようとする心」の[意志]ではなく、「考えや思い」の[意 思]になるのでは。 ※このほか、細かくなりますが、「関って」「係わって」の混在な ど、校正上の問題と考えざるを得ない表記が多くありました。 興味深い内容の小説だけに残念です。 <追加> ◎30ページ 10行目◎ 誤「…豊平川の清流が蕩々(ルビ=とうとう)と流れている。」 正「…豊平川の清流が滔々(ルビ=とうとう)と流れている。」 同じ読みでも[蕩蕩]と[滔滔]では意味が違います。辞典にもよりますが [蕩蕩]は「広く大きなさま」「広々としておだやかなさま」。 [滔滔]は「水のさかんに流れるさま」「弁舌のよどみないさま」「強い 勢いである方向にむかうさま」。 といったニュアンスの説明が多いはず。 例として挙げているのは「蕩々たる大河」「滔々と流れる大河」。 同じく河を修飾するのですが、河幅に注目するか流量に注目するか、目 線の違いがあるようです。 ◎204ページ 1行目ほか◎ 誤「…厚間は由紀子と運転を替わった。」 正「…厚間は由紀子と運転を代わった。」 「前の物事をやめて別の物事をする、新しいものにする」との意の[替] ではなく、「代理、代表、交代」の意の[代]に。(新聞用字用語集) 219ページの「“あちらさん”の“社長”が替わるまでは…」も[代]。 反対に、216ページの「…西側を中国が支配し、代わりに東側を米国に与 えるという…」は、[替え地][入れ替え]の意味があることから[代]では なく[替]になるのではないでしょうか。 ※余談ですが、気になることをもう一点。 30ページ。登場人物の厚間がランニングを終え札幌市豊平区・中の島 にあるマンションに帰ってきます。階下の郵便受けから朝刊一紙を取 り出し、部屋に入って開くのが『十勝毎日新聞』なのです。 『十勝毎日新聞(通称:勝毎・かちまい)』は、北海道帯広市に本社を 置く十勝毎日新聞社が、帯広・十勝管内に向けて発行している実在の 夕刊紙で発行部数は88,684部(2009年9月現在:日本ABC協会調べ)。 札幌市生まれの厚間が、全国紙や北海道でシェア7割の『北海道新聞 (通称:道新・どうしん)』の朝刊ではなく、地方紙の『十勝毎日新 聞』(夕刊紙)1紙のみを購読しているということが不自然と思えるの です。趣味で購読している、ということは考えられますが…。 急死した中澤・前衆議院議員の第一報が掲載されています。中澤・前 議員がいくら帯広市出身だからといって、記事の掲載紙が帯広の夕刊 地方紙でなくてもいいと思います。 出身地の地元紙である『十勝毎日新聞』を紹介するのは問題ないので す。札幌出身の人が札幌で購読するのには、フィクションでも無理が あるようです。
報告者:nande3