下町ロケット
誤植報告
ISBN:978-4-09-386292-9 著者:池井戸 潤(いけいど じゅん) 発行:2011年7月30日 第三刷 第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞作品。 2011年のWOWOW連続ドラマに続き2015年10月にはTBSテレビの 日曜劇場でテレビドラマ化される予定と聞き、図書館から借りて きました。 <誤植というより校正ミス? 意図的なミス?> ◎22ページ 15行目ほか◎ 誤「自席に引き上げていく殿村の背中をドア越しに見送りながら…」 正「自席に引き揚げていく殿村の背中をドア越しに見送りながら…」 [引き上げる]は同じ22ページの「技術レベルを引き上げる」の ように、「引っ張り上げる」という意味。「元の所に戻す・戻る」 という意味では[引き揚げる](新聞用字用語集説明から)。 ◎33ページ 7行目ほか◎ 誤「社長もご存知だと思いますが…」 正「社長もご存じだと思いますが…」 名詞・他動詞の[存知(ぞんち)]は「知っていること、承知している こと」。 [存じ]=「知っていること。承知」の尊敬語が「御(ご)存じ」。 334ページに「ご判断をいただければと存じます」という文章があり ます。こちらは「考える、思う」の謙譲語の[存ずる](自サ変)。 ◎197ページ 10行目◎ 誤「…ご希望に添えるという保証はできません」 正「…ご希望に沿えるという保証はできません」 ◎238ページ 8行目◎ 誤「…三上の紹介なら話をきくくらいはいいでしょう」 正「…三上の紹介なら話を聞くくらいはいいでしょう」 間違いではありませんが…細かくなります。同じページや他のペー ジでは漢字表記になっていますので統一を。 ◎276ページ 2行目 誤「…慌ただしさとクリスマスの華やかさが入り混じって…」 正「…慌ただしさとクリスマスの華やかさが入り交じって…」 間違いとは言い切れませんが、新聞用字用語集では、「とけ合う まじり方」の[混]ではなく、「とけ合わないまじり方」の[交]を 使う例として[入り交じる]を挙げています。 ◎314ページ 11行目◎ 誤「固いぞ、という津野のヤジにみんなが笑った。」 正「硬いぞ、という津野のヤジにみんなが笑った。」 挨拶が堅苦しい、話の内容が[かたい]という意味です。 「堅い話」では「確実な内容」という意味になり、この場面では 使い方が違います。 「硬い表現、態度が硬い、話が硬い(生硬)」の[硬い]になると思 います。 318ページに「硬い口調で…」、346ページに「硬い表情で…」、 392ページに「(挨拶が)硬いよ、というヤジが飛んで…」という 正しい表現が見られます。 ◎392ページ 16行目ほか◎ 誤「…春を思わせる陽射しが差し込む二月の朝のことであった。」 正「…春を思わせる柔らかい光が差し込む二月の朝のことであっ た。」 [陽射し]は間違いではありませんが、表外音訓になりますので、[日 差し]がよろしいかと。 それ以前に、[日差し]という言葉には「日光が差す」という意味が 含まれていますので、「日差しが差す」は「重言」に当たると考え られます。重複表現は絶対にダメだ、ということはありませんが、 表現の仕方を変えたほうがよろしいでしょう。 ※重版や文庫化でこうした箇所が訂正・修正されているかもしれません。
報告者:nande3