最後の証人
誤植報告
ISBN:978-4-7966-7686-1 著者:柚月 裕子(ゆづき ゆうこ) 発行:2010年6月16日 第2刷 <誤植というより校正ミス? 意図的なミス?> ◎27ページ 7行目ほか◎ 誤「…残業手当てがつかないこともある。」 正「…残業手当がつかないこともある。」 間違いとは言い切れませんが、新聞用字用語集やワープロソフトで は、[手当て]=一般用語。治療、対策など、[手当]=金銭、と区別 しています。 例を挙げると、[手当て]は「応急手当て、傷の手当て、資金の手当 て」など、[手当]は「お手当、家族手当、年末手当」など。 ◎28ページ 7行目◎ 誤「…二階にあがる。…着替えてリビングに降りていくと…」 正「…二階にあがる。…着替えてリビングに下りていくと…」 [降りる]は「乗り物から外へ出る、地位・役目などからしりぞく、 降下」の意。[下りる]は「上の対語、上から下へ」の意。 ゆえに、「…二階にあがる。…着替えてリビングに降りていくと…」 は「…二階に上がる。…着替えてリビングに下りていくと…」という 漢字の使い方になると思います。 ◎56ページ 9行目◎ 誤「マスコミも時折、検察審査会の意義問題をとりあげていた。」 正「マスコミも時折、検察審査会の意義問題を取り上げていた。」 これも間違いではありませんが、漢字表記がよろしいかと。細かくな りますが、90ページでは「…手からグラスを取り上げた。」と漢字を 使っています。 ◎72ページ 11行目◎ 誤「人は他人との間に、距離をとっています。…人って自然と間合いを 計っているものじゃないですか。」 正「人は他人との間に、距離をとっています。…人って自然と間合いを 測っているものじゃないですか。」 難しいです。[間合い]を[タイミング]と解釈すると、「時間・タイミ ングを計る」ですので「間合いを計る」になりそうですが…。 [間合(い)]の意味は「ほどよい間隔。ころあい。時機。おり」。 「物と物とのへだたり」を意味する[間隔]は、「(間合いを)とった り、詰めたり」するもので「はかる」ものではありません。剣道の [一足一刀の間合い]です。 [時機]を意味すると、「(間合いを)見計らう」になるのですが、この 文章の意味するのは[間隔]という彼我の心理的・肉体的な[距離]のこ とだと考えられますので、「真意を測る、度合いを測る」の[測る]を 使うのが正しい、ことになるのでは? ◎173ページ 13行目ほか◎ 誤「…何を聞きたいのか図りかね…」 正「…何を聞きたいのか測(=量)りかね…」 ◎194ページ 1行目ほか◎ 誤「あれでは、相手の独擅場じゃないですか」 正「あれでは、相手の独擅場(ルビ=どくせんじょう)じゃないですか」 間違いではありません。正しい使い方なのですが… 本来は[独擅場(どくせんじょう)]ですが、「擅(せん)」が「壇(だ ん)」と誤読されて、「どくだんじょう」という言い方が定着したこ とにより、今では表記も「独壇場」が一般化し、放送や新聞でも[独 壇場(どくだんじょう)]を使っています。 ということから、使うなら[独壇場]、[独擅場]を使うなら難読漢字 なのでルビを振ったほうがいいのではないかと考えます。 ◎263ページ 5行目◎ 誤「男性は、納得したように、うなづいた。」 正「男性は、納得したように、うなずいた。」 現代仮名遣いでいうと、「うなずく」。279ページでは「…振り向い てうなずいた」と正しく使っています。 ◎296ページ 2行目◎ 誤「…丸山さんが白を切りとおして七年前の事故を証言しなかったら…」 正「…丸山さんがしら(シラ)を切りとおして七年前の事故を証言しなかっ たら…」 微妙です。「しらを切る」とは「知っていながら知らないと言いはる。 しらばくれる」と説明している辞典があります。「しら」は「知らない」 の略で「白は、単なる当て字」との解説もありますので、書くとしたら 「…しら(シラ)を切りとおして…」がよろしいかと。
報告者:nande3