共犯捜査
誤植報告
ISBN:978-4-08-745466-6 著者:堂場 瞬一(どうば しゅんいち) 発行:2016年7月25日 第1刷(集英社文庫) 『検証捜査』の兄弟編、文庫書き下ろし。 ◎49ページ 3行目◎ 誤「日の出を待って、車の引き上げが始まった。」 正「日の出を待って、車の引き揚げが始まった。」 「引き上げる」は「引っ張り上げる」の意。「元の場所に戻す」 のは「引き揚げる」。「軍隊を引き揚げる」「ベンチに引き揚 げる」「沈没船を引き揚げる」「水死体を引き揚げる」など(新 聞用字用語集の説明)。 埠頭から海にダイブして沈んだ車なので「引き揚げる」を使う べきかと。 89ページに「海面を漂っている遺体…」「…消防署員が出動して 遺体を引き上げ…」という文章があります。こちらも「引き揚げ る」に。105ページの「やがて交番勤務から刑事に引き上げられ」 は「引っ張り上げられる」という意味ですので正しい使い方にな るのですが、この小説全体で「元の場所に戻る・戻す」意の箇所 全部が「引き上げ」となっています。 著者特有の表現・表記の一つとも考えられますが、他の作品『暗 い穴 警視庁追跡捜査係』では「引き揚げる」という表記が多く 見られます(間違いの「引き上げる」もあり)ので、校正上の問題 なのかもしれません。 ◎88ページ 12行目ほか◎ 誤「県道五四号線から…」 正「県道五四号から…」 間違いとはいえませんが…。 「○○号線」と一般的に言いますが、正式な路線名に[線]は付き ません。 11ページでは「国道三号は…」と使っているので統一を。 ◎257ページ 14行目◎ 誤「…誘拐だと分かったら、人の手当は考える」 正「…誘拐だと分かったら、人の手当ては考える」 「治療、対策など」の意の一般用語ですので「手当て」に。「手 当」は「お手当」「年末手当」など金銭関係に(新聞用字用語集か ら)。「顔を洗って手当てしてこいよ」316ページでは正しく使っ ています。 ◎261ページ 3行目◎ 誤「しかし、身になる話はなかった。六歳では仕方がないかも…」 正「しかし、実になる話はなかった。六歳では仕方がないかも…」 微妙な表現です。 「その人の血となり肉となる。栄養になる」「その人の立場に なって考える」という意味の「身に成る」という言葉があるの ですが…[実]を「なかみ、内容」という意味でとらえると「実 のある話」という使い方があります。「内容のある話」。 もしかすると、「身になる話はなかった」は、「実のある話(証 言)はなかった」なのでは…? ◎275ページ 15行目◎ 誤「六十五歳。…実家で一人暮らしだったんだけど…」 正「六十五歳。…実家で独り暮らしだったんだけど…」 同じページに「私は…一人暮らしでもないけどね。親を―母親を 引き取ったのよ」とあります。こちらは一般用語の「一人暮らし」 で正しい使い方。「孤独」という意味がある場合は「独り暮らし」 (新聞用字用語集の説明から)。「気楽」か「寂しい」か、ニュアン スの違い? ※ 170ページなどに出てくる「友だち」。他の小説でも目にする表 現です。とても気になっています。 [友]という言葉があり、その類語になる[友達]。[友]に複数を 表す[達(たち)]を付けたものではありません。「子ども達」 の[達]とは違うということです。 新聞用字用語集では、複数を示す[達]は新聞漢字表にない音訓 なので平仮名書き、と規定しています(子供・子どもたち、友 人たち)。 対し、[友達]は、新聞漢字表にない音訓を含んでいるが、熟字 訓などで慣用表記として使う、と説明しています。朝日新聞な ども同じ扱いのようです。 [達]は平仮名書きがいいようだから、[友達]は「友だち」と 書いてしまい、これが一般的になってしまったのでしょうか。 [友達]は一つの言葉、名詞として存在していますので、漢字表 記が正しいのではないでしょうか。
報告者:nande3