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暗い穴 警視庁追跡捜査係
誤植報告
ISBN:978-4-7584-3945-9 著者:堂場 瞬一(どうば しゅんいち) 発行:2015年9月18日 第1刷(ハルキ文庫) 「警視庁追跡捜査係」シリーズの第六弾。ハルキ文庫書き下ろし。 <誤植というより校正ミス? 意図?> ◎42ページ 7行目◎ 誤「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を取ったのだから…」 正「…クソ暑い中で穴掘りの指揮を執ったのだから…」 24ページでは「あの男が現場指揮を執っていて…」と正しく表記 しています。 ◎52ページ 17行目ほか◎ 誤「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を挙げた。」 正「西川は、しばらく相澤を攻めたが、結局自ら白旗を揚げた。」 難しい表現です。そもそも、[白旗]は「あげる」もの? 「あげ る」ものなら、「はっきり分かるように示す」意思表示を意味す る[挙]でもよさそうですが…「高く掲げる」意味なら[揚]になる かと。例は「国旗を揚げる」。 ここでの[白旗]は「白い色の旗」ではなく「降伏のしるしを表す 旗」「戦意を維持しない(もはや交戦相手ではない)、降伏の意思 があることなどを相手に知らせるための旗」と理解すべきです。 どうにもならない「お手上げ」状態ですね。 日本の文献で最も古い「降伏の意味での白旗」の出例は『常陸 国風土記』で、降伏の意図で「白幡」をかかげたという記述が見 られるそうです(Wikipediaから)。 [白旗]は「あげる」ものではなく「かかげる」ものといえそうで す。国語辞典の用例にもあるので、「…結局自ら白旗を掲げた。」 がふさわしい表現かもしれません。 ◎55ページ 2行目◎ 誤「しかし乗りかかった船から降りるわけにはいかない。」 正「しかし乗りかかった船(舟)から下りるわけにはいかない。」 「いったんかかわった以上は、途中でやめるわけにはいかない」と いう例えの慣用句的表現が「乗りかかった船」。一般的な乗り物か ら外へ出る意味では[降]を用いて「車・電車・飛行機・リフトから 降りる」となりますが、船の場合は「下船」の意味で「船から下り る」と説明しています(新聞用字用語集から)。 ◎93ページ 14行目◎ 誤「…その手前の木を利用して張られた非常線が、ただならぬ雰囲気 を醸し出している。」 正「…その手前の木を利用して張られた規制線の黄色いテープが、た だならぬ雰囲気を醸し出している。」 一般的な意味、国語辞典的に[非常線]は「重大な犯罪や災害などが 発生したときに、一定の区域に警官を配置して検問や通行禁止など を行う警戒態勢。警戒線。」であり、「非常線を張る」と使います。 この場合、[線(ライン)]より[態勢]に重きを置く言葉で、直接ロープ やテープなど物を張り巡らすわけではありません。 似た言葉で[規制線]があります。「立ち入ってはいけない区域と、 それ以外の区域を定める境界線」のことです。これも「規制線を張 る」と使いますが、線状・テープ状の具体的な物を指して言ってい るのではありません。 木々を利用して規制線を示す黄色のテープを張り巡らした、と理解 すべきでしょう。ちなみに、警察が使う立ち入り禁止「KEEP OUT」 のテープには“バリケードテープ”という名前があるそうです。 ◎157ページ 9行目◎ 誤「…むっとするような緑の臭いが襲いかかってきて…」 正「…むっとするような緑の匂いが襲いかかってきて…」 間違いとは言い切れない、難しい表現です。 [臭い]は「悪いにおい、悪臭」のニュアンスが強く、そうとらえた 場面だと思いますので[臭い]になったのでしょう。一般的には[緑] の「におい」は良いほうの[匂い]でしょうか…。 ◎264ページ 11行目◎ 誤「今日はもう、さっさと引き上げて休むか。」 正「今日はもう、さっさと引き揚げて休むか。」 36ページほかでは「六時に引き揚げです」などど正しく使っている のですが…。 ◎271ページ 10行目◎ 誤「…怪我もされていたし、一応簡単に手当はしました」 正「…怪我もされていたし、一応簡単に手当てはしました」 244ページに「…真意を見抜き、手当てするのではなく、頭を一発ひっ ぱたいてやりたくなった。」という文章があり、正しく[手当て]と使って ています。[手当]は金銭関係。301ページにある「お手当をくれるよう な人はいません」の使い方です。校正上の問題です。 ◎397ページ 3行目◎ 誤「西川は手をメガフォンにして呼びかけた。」 正「西川は手をメガホンにして呼びかけた。」 外来語表記ですので間違いとは言い切れませんが、一般的には「メガ ホン」です。メガホン(英語:Megaphone)は、声を拡声するために用い られる器具。 ◎416ページ 15行目◎ 誤「…推理の仕方は違っても、根っ子の部分が似てくるのは仕方ない…」 正「…推理の仕方は違っても、根っこの部分が似てくるのは仕方ない…」 これも難しい表記です。辞典によっては「根っ子」「根っこ」両方出て きますので。新聞用字用語集は、「根っ子」は慣用度が低いため「根っ こ、首根っこ」に、としています。 [根]に接尾辞としての[子(こ)]が付いた表現、という説明もあります。 「名詞に付いて位置を表す」用法に当たり、 角子・隅子(すみっこ)…隅のほう。 端子(はじっこ)…端(はし)のほう。 根子(ねっこ)…根のほう。根方(ねかた)。根元。根株。 と。 また、[根][根っこ][根もと]を同列に扱い、「植物の体の支持、水分と 栄養分の吸収などを行う部分。ふつうは地中にある」を共通する意味に 挙げ、[根っこ]は、切り株の意にも用いる、[根]より話し言葉的とする 辞典もあります。 [子]だと「子ども」の印象が強く、根の子どもと受け取るのもアリ、に なってしまいそうで怖いです。「…根の部分が似てくる」「…根もとの 部分が似てくる」と書き換えても意味が通じるので、[根っこ]の方が優 しい表現で正しいのではないかと個人的には考えています。蛇足でした。
報告者:nande3